スペースXは2023年1月3日、今年初となるロケットの打ち上げを実施しました。今回の打ち上げは、同社の衛星ライドシェアミッション「Transporter-6」を行い、顧客の衛星114機を搭載していました。
米国東部標準時2023年1月3日9時56分、スペースXの「ファルコン9」ロケットはフロリダ州にあるケープカナベラル宇宙軍基地第40発射施設から打ち上げられました。ロケットの第1段機体は打ち上げ後、基地内にある地上着陸エリアへ帰還しました。
今回使用された第1段機体は、15回目の飛行となります。これまでに10回の「スターリンク」ミッションを含み、「GPS III-3」「Turksat 5A」 「Transporter-2」「Intelsat G-33/G-34」 の打ち上げに使用されてきました。
Transsporter-6では、前述したとおり114機の衛星がファルコン9に搭載されました。スペースXによると、82回の衛星分離を実施するということです。
打ち上げられた衛星で最も多くの割合を占めていたのは、Planet Lab社の「SuperDove」36機です。200機以上の衛星を運用することになる同社の衛星コンステレーションは、毎日3億5000平方kmの範囲をカバーし、ピクセルあたり約3mの解像度で地表の画像を提供するということです。同社の衛星は、2022年1月13日に実施された「Transporter-3」のミッションでも打ち上げられており、同様に最大数を占めていました。
参考記事:スペースX、105機の衛星が相乗りしたライドシェアミッション3回目の打ち上げに成功!
Transporter-6では、日本企業の衛星も搭載されました。ソニーグループ株式会社が中心となって開発した超小型人工衛星「EYE」が打ち上げられ、高度524kmの衛星軌道上に放出。ソニーによると、衛星はすでに地上局との間でデータの送受信に成功し、太陽電池パドルの展開にも成功したということです。
今後は、撮影後の画像を地上へ送信するために用いるXバンドの通信確立を実施し、衛星をより高い軌道へ投入するため、水蒸気式推進機(水エンジン)を使用した高度上昇を実施する予定であると述べています。この水蒸気式推進機は、日本の宇宙ベンチャー企業「Pale Blue」が提供しています。
この衛星は、ソニーと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進する「STAR SPHERE」プロジェクトの一環として開発されました。ソニーによると、専用のシミュレーターを使用し地上から遠隔操作することで、宇宙空間から撮影された静止画や動画などを届けるサービスを行うということです。なお撮影体験に関するサービスは2023年春頃に展開を予定しているということです。
今回の打ち上げでは、日本の民間企業「SpaceBD」が日本の打ち上げサービスプロバイダーとして初めてファルコン9ロケットを使用して衛星を軌道投入しました。2021年11月にスペースXより衛星搭載枠を購入し、英国企業をはじめとする合計6組織(6カ国)の衛星を打ち上げたということです。同社がローンチプロバイダーとして海外ロケットを使用し、衛星を打ち上げるのは今回が初めてとなります。また同社によると、今回の打ち上げはオランダのISILaunch Service社と協業で実施したということです。
Source
Image Credit: SpaceX, Planet Labs PBC SpaceX - Transporter-6 ソニーグループ株式会社(PR TIMES)-ソニーの超小型人工衛星『EYE』が軌道上での通信確立に成功 SpaceBD -日本のローンチサービスプロバイダー初 米SpaceX「Falcon 9」ロケットにて衛星を軌道投入 Planet Lab - 36 Planet SuperDoves Successfully Launch on SpaceX's Falcon 9 Rocket SpaceNews - SpaceX begins 2023 with Transporter-6 launch Spaceflight Now -SpaceX launches 114 small satellites on first mission of 2023文/出口隼詩