このたび国際的な天文学者の研究チームによって、表面温度が摂氏10万度を超える宇宙で最も高温の星が8個発見されました。この研究は、南アフリカ天文台の「南アフリカ大型望遠鏡(Southern African Large Telescope:SALT)」を用いて収集されたデータに基づいています。SALTは10m×11mの主鏡を持つ南半球最大の単一光学望遠鏡(有効径9.1m)です。
今回の研究成果は、2023年1月9日付の『王立天文学会月報』(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)で紹介されています。それによると、この研究ではヘリウムを豊富に含む準矮星(主系列星よりも光度が低い星)を調査した結果、非常に高温の白色矮星(星の進化で末期段階にある星)や前白色矮星(白色矮星になる前の星)がいくつか発見されたとのこと。
最も高温のものは表面温度が摂氏18万度にも達するといいます。ちなみに、太陽の表面温度は摂氏5800度にすぎません。
特定された星の1つは、新しく発見された直径約1光年の惑星状星雲の中心星です。また、他の2つは変光星(見かけの明るさが変化する星)だといいます。これらの星は、星のライフサイクルでは寿命を迎える末期にあたり、白色矮星に進化しつつあります。新しく発見された星は、それぞれ非常に高温であるため、太陽より100倍以上も明るく、白色矮星としては珍しいと考えられています。
白色矮星の大きさは地球とほぼ同じですが、質量は太陽に近く、地球の100万倍にもなります。通常の物質で構成されるものとしては最も密度が高い天体です。また、前白色矮星の大きさは白色矮星の数倍ですが、数千年以内に収縮して白色矮星の大きさになるといいます。
この研究を主導したアーマー天文台(Armagh Observatory、北アイルランド)の天文学者サイモン・ジェフリー(Simon Jeffery)氏は次のように語っています。
「温度が10万度以上の星は非常に珍しく、今回の調査でこのような星がたくさん見つかったことは本当に驚きでした。これらの発見は、星の進化の末期段階について理解を深めるのに役立つと同時に、SALTが私たちのプロジェクトに最適な望遠鏡であることを示しています」
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Image Credit: Tom Watts (AOP), STScINASA, The Dark Energy Survey Royal Astronomical Society - Astronomers discover eight new super-hot stars Monthly Notices of the Royal Astronomical Society - Hot white dwarfs and pre-white dwarfs discovered with SALT文/吉田哲郎