こちらは「ペガスス座」の方向約133光年先にある恒星「HR 8799」を公転する太陽系外惑星の動き示したアニメーション画像です。といってもシミュレーションで再現されたものではなく、動画の作成にはハワイのマウナケア山にあるW.M.ケック天文台の「ケック望遠鏡」を使って実際に取得された画像が用いられています(星印の位置にあるHR 8799からの光は観測装置のコロナグラフで遮られています)。
HR 8799は誕生から約3000万年程度の若い恒星です。質量は太陽の約1.5倍で、太陽の約5倍の明るさで輝いています。HR 8799では望遠鏡を使った直接撮像によって、これまでに合計4つの系外惑星「HR 8799 b」「HR 8799 c」「HR 8799 d」「HR 8799 e」が見つかりました。4つの惑星はいずれも木星より重く(約6~12倍)、主星のHR 8799から約15~68天文単位(※)離れた軌道を数十~数百年周期で公転しているとみられています。
※…1天文単位(au)=約1億5000万km、太陽から地球までの平均距離に由来。
冒頭の動画は、ノースウエスタン大学の天体物理学者Jason Wangさんが作成しました。Wangさんは2008年11月にHR 8799で最初に系外惑星が直接撮像された時、すぐにこの惑星系に魅了されたといい、それ以来観測を続けています。動画の作成には、Wangさんとその同僚が2009年8月から2021年7月までの12年間に渡って取得したHR 8799系の画像が使用されました。
「天文学的な出来事は動画として捉えるには速すぎるか遅すぎるかのどちらかですが、この動画は惑星が人間のタイムスケールで動いていることを示しています」(Wangさん)
【▲ 恒星「HR 8799」を公転する4つの系外惑星の12年間に渡る動き(YouTubeバージョン)】
(Credit: Jason Wang/Northwestern University)
HR 8799系の系外惑星の動きを示した動画は、ノースウエスタン大学から2023年1月30日付で公開されています。
Source
Image Credit: Jason Wang/Northwestern University, W. M. Keck Observatory/Adam Makarenko Northwestern Now - Watch distant worlds dance around their sun文/sorae編集部