こちらは北天の星座「ヘルクレス座」の一角を捉えた画像。1辺の長さは満月の見かけの直径の約13分の1しかありません(2.27×2.23分角)。視野全体で輝く天体のほとんどは、それ自体が何百億、何千億もの星々からなる銀河です。
最も大きく見えている銀河は約10億光年先の「LEDA 2046648」で、そのすぐ下には別の銀河「SDSSCGB 45689.6」も写っています。どちらの銀河も明るく輝く中心部分やそれを取り巻く渦巻腕(渦状腕)、新たな星を生み出す星形成領域を持っています。
この画像は「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータ(赤外線のフィルター4種類を使用)をもとに作成されています(※)。欧州宇宙機関(ESA)によると、NIRCamによるLEDA 2046648付近のデータの取得は、ウェッブ宇宙望遠鏡の別の観測装置「近赤外線撮像・スリットレス分光器(NIRISS)」による白色矮星「WD1657+343」のデータ取得と並行して実施されました。
※…ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されたものです。この画像では1.5μmが青、2.0μmがシアン、2.77μmが黄、3.56μmが赤で着色されています。
2022年7月から本格的な観測を開始したウェッブ宇宙望遠鏡は宇宙最初期の銀河の観測を主な目的の一つとしており、これまでに134億年以上前の複数の銀河などがウェッブ宇宙望遠鏡の観測データから見つかっています。初期宇宙の銀河と現在の銀河の比較は、銀河がどのようにして現在見られる姿に進化したのかを天文学者が理解する上で役立つということです。
冒頭の画像は“ウェッブ宇宙望遠鏡の今月の一枚”として、ESAから2023年1月31日付で公開されています。
Source
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Martel ESA/Webb - A Spiral Amongst Thousands文/sorae編集部