【2023年2月14日12時30分】ロスコスモス(Roscosmos)は2023年2月14日(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)に係留中の2022年12月に冷却材が漏洩したロシアの宇宙船「ソユーズMS-22」の損傷部分を撮影した画像を公開するとともに、次の宇宙船「ソユーズMS-23」の打ち上げが延期されたことを明らかにしました。
ISSでは2022年12月15日9時45分頃(日本時間)、ソユーズMS-22の熱制御システムから冷却材の漏洩が検出されました。今回公開された画像は漏洩箇所の調査を行うためにISSのロボットアーム「カナダアーム2(Canadarm 2)」を使って2022年12月19日に撮影されたもので、ソユーズMS-22の機器/推進モジュール(後部のエンジンや太陽電池アレイがある部分)外装のラジエーターに空いた穴と、ラジエーター表面の変色が確認できます。穴の直径は1mm弱とされていて、ロスコスモスは微小隕石が衝突した可能性に言及しています。
ソユーズMS-22はロスコスモスのセルゲイ・プロコピエフ(Sergey Prokopiev)宇宙飛行士とドミトリー・ペテリン(Dmitry Petelin)宇宙飛行士、アメリカ航空宇宙局(NASA)のフランク・ルビオ(Frank Rubio)宇宙飛行士の3名を乗せて2022年9月21日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、9月22日にISSロシア区画の「ラスヴェット」モジュールとのドッキングに成功しました。本来であれば3名の帰還にもソユーズMS-22が用いられるはずでしたが、このトラブルを受けてNASAとロスコスモスはソユーズMS-22を帰還に使用せず、代わりに次の宇宙船「ソユーズMS-23」を無人のまま打ち上げて帰還に用いることを2023年1月に決定しています。
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ソユーズMS-23は2023年2月20日に打ち上げられる予定でしたが、冒頭でも触れた通り、ロスコスモスはソユーズMS-22の損傷部分の画像公開と合わせて、ソユーズMS-23の打ち上げを2023年3月まで延期することが決定したと発表しました。
実は、ISSでは2023年2月11日(日本時間)にもロシアの補給船「プログレスMS-21」の熱制御システムから冷却材が漏洩するトラブルが起きています。ロスコスモスで有人宇宙飛行プログラム担当エグゼクティブディレクターを務めるセルゲイ・クリカレフ氏は、2022年12月のソユーズMS-22と今回のプログレスMS-21で起きた事象が似ており、徹底した分析が必要だと発生直後に指摘。いっぽう、ロスコスモスのユーリ・ボリソフCEOは、2件のトラブルの結果は同じであるものの、原因は異なる可能性もあると2月13日にコメントしています。
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ロシア国営のタス通信はボリソフCEOの言葉として、プログレスMS-21の故障箇所を特定できるように、ソユーズMS-23の打ち上げが遅くとも2023年3月上旬まで延期されたと伝えています。タス通信によると、2月13日の時点では情報が不足していることからあらゆる可能性を考慮するとボリソフ氏は語っており、前回トラブルが起きたソユーズMS-22と同様に、今回のプログレスMS-21でも損傷部分を撮影するための対策が講じられているということです。
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Image Credit: Roscosmos Roscosmos (Telegram) TASS - Science & Space文/sorae編集部