インターステラテクノロジズ(IST)は2023年2月13日、同社が現在開発中の超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」に用いられるフェアリングの分離放てき試験に成功したことを発表しました。
ZEROは、3度の宇宙到達実績のある観測ロケット「MOMO」に続くロケットとして開発中の超小型人工衛星用の小型ロケットです。ISTによると、ZEROは全長50m・直径1.7mで、最大重量150kgの人工衛星を高度300~600kmの地球低軌道に投入可能とされています。
今回の試験は、2023年2月10日に福島県相馬市の「福島ロボットテストフィールド」で行われました。試験内容はフェアリング(※)が「設計通りに分離し、機体から離脱するか」を確認することとされており、ISTは「分離機構が正常に動作し、計画通りの挙動でフェアリングが離脱したことを確認した。また、挙動の計測・解析に必要なデータを取得できた」と報告しています。
※…フェアリング:ロケット先端部に搭載された衛星などを覆い、打ち上げ時の摩擦熱から保護します。目的の高度に達した後は、左右に別れて分離します。
【▲ 2023年2月10日に実施されたZEROのフェアリング分離放てき試験の様子】
(Credit: インターステラテクノロジズ)
なお、ZEROのフェアリングは、ISTが衛星用に初めて開発する部品となります。ISTによると、フェアリングは高さ3.6m・直径1.7mの円筒型で、その素材には軽量で強度の高いCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用。海外の民間ロケット会社で主流となっている火薬を使わない装置(非火工品)を国内で初めて分離機構に導入しており、フェアリング分離時の衝撃を大幅に緩和することで、衛星に優しい設計になってる、ということです。
ISTは、今回の試験で得られたデータをもとに、実機モデルの設計と製造に着手するとしています。
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Image Credit: インターステラテクノロジズ インターステラテクノロジズ - 超小型人工衛星用ロケット「ZERO」 衛星フェアリングの分離放てき試験に成功文/sorae編集部