こちらは「おおぐま座」の方向約1億1000万光年先にある渦巻銀河「NGC 5486」です。バルジと呼ばれる明るい中心部分を、ふわふわとした雰囲気の不明瞭な渦巻腕(渦状腕)が取り巻いています。渦巻腕のあちこちに見えているピンク色の領域は、新たな星を生み出す星形成領域が存在することを示しています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータ(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。欧州宇宙機関(ESA)によると、ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 5486の観測は、「II型超新星」を起こした恒星やその周辺の環境を理解する研究の一環として取得されたということです。
II型超新星は超新星爆発の一種で、太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星が赤色超巨星に進化した後、恒星内部の核融合反応で生成された鉄のコア(核)が自重を支えきれなくなって崩壊し、その反動によって恒星の外層が吹き飛ぶことで爆発に至ると考えられています。NGC 5486では2004年3月にII型超新星「SN 2004cm」が発見されています。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年3月6日付で公開されています。
Source
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick ESA/Hubble - Hubble spies a meandering spiral文/sorae編集部