こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」が火星のジェゼロ・クレーターで撮影した火星の夜明け前の空です。Perseveranceのマストに2つ搭載されているナビゲーションカメラ「NavCam」の1つを使用して、2023年3月18日(ミッション738ソル目※)に撮影されました。
※…1ソル(Sol)=火星での1太陽日、約24時間40分。
Perseveranceが探査活動を行っているジェゼロ・クレーター内部にはまだ太陽の光は届いていませんが、上空には一足先に朝日を浴びた雲が浮かんでいます。Perseveranceは2分ほどの間に複数の画像を撮影しており、Perseveranceを運用するNASAのジェット推進研究所(JPL)からは漂う雲の様子がわかるアニメーション画像も公開されています。
2021年2月に火星へ到着したPerseveranceのミッションの目的は「火星に存在していたかもしれない生命の痕跡を探すこと」ですが、2012年8月から探査活動を行っている“先輩”の火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」とともに、火星における雲の形成プロセスを研究するためのデータもPerseveranceは取得しています。
先日はキュリオシティが撮影した日没後の空に浮かぶ羽毛のような形の雲や、薄明光線(光芒)を捉えた画像が公開されました。
関連:NASAの火星探査車キュリオシティが火星の空に浮かぶ美しい雲を撮影(2023年3月9日)
現在、NASAと欧州宇宙機関(ESA)は共同で、火星の表面から採取したサンプルを地球に持ち帰る「火星サンプルリターン(Mars Sample Return)」計画を計画・実施しています。この計画は「火星でのサンプル採取」「サンプルの回収と打ち上げ」「サンプルを地球へ輸送」という三段構えのミッションで構成されていて、Perseveranceは第1段階のサンプル採取を担っています。
Perseveranceが採取したサンプルは、NASAが担当する第2段階「サンプルの回収と打ち上げ」のミッションで回収されて、小型ロケットを使って火星の周回軌道へ打ち上げられます。軌道上には第3段階「サンプルを地球へ輸送」のミッションを担当するESAの探査機が待ち構えていて、小型ロケットから放出されたサンプル入りのコンテナをキャッチし、回収カプセルに収容した上で地球への帰路につきます。
Perseveranceが採取した火星表面のサンプルは、早ければ10年後の2033年に地球へ届けられる予定です。
Source
Image Credit: NASA/JPL-Caltech NASA/JPL - Perseverance Views Drifting Clouds文/sorae編集部