米国の宇宙企業Relativity Space(レラティビティスペース)は現地時間3月22日、初のロケット「テラン1」(Terran 1)の打ち上げを実施しました。
発射台を飛び立ったテラン1の飛行は第1段と第2段の分離まで順調だったものの、第2段の燃焼途中に不具合が生じ、所定の軌道へ投入することに失敗しました。
テラン1の初打ち上げとなった今回のミッションは「GOOD LUCK, HAVE FUN 」と呼ばれています。米国東部夏時間2023年3月23日23時25分、テラン1は米国フロリダ州にあるケープカナベラル宇宙軍基地16発射台から打ち上げられました。打ち上げから80秒後、テラン1はロケットが飛行中に最も空気抵抗を受ける「マックスQ(Max-Q)」と呼ばれる最大動圧点を無事に通過しました。マックスQはロケットの破壊が起こりやすい時点として知られています。
発射から2分45秒後に第1段と第2段の分離が行われ、第2段にあるエンジンの燃焼が開始したものの、燃焼は突如終了してしまいました。レラティビティスペースは打ち上げの様子をライブ中継しており、発射から約5分後にロケットの管制室から異常の発生が明らかにされたものの、詳しい情報はないまま中継は終了しました。
中継では同社のテクニカルプログラムマネジャーであるArwa Tizani Kelly氏が「軌道には達しませんでしたが、私たちは初打ち上げで達成するべき目標を大きく超えました。その目標とは厳しい飛行フェーズであるマックスQのデータを集めることであり、第1段と第2段を分離することです」とマックスQの通過を強調した上で、「今回の飛行データはTerran Rを含むロケットの開発を向上させるために、私たちのチームにとって貴重なものとなるでしょう」と述べました。
テラン1は全長33m、直径2.2mある2段式のロケットです。エンジンの燃料はメタン、推進剤は液体酸素を使用しています。第1段に9機のエンジン、第2段に1機のエンジンが搭載されており、地球低軌道(LEO)高度185kmに1,250kgのペイロードを運搬する能力を持ちます。同社によるとテラン1の製造では金属部品を出力できる3Dプリンターが使用されており、ロケット重量の85%を占めているということです。
また、同社は再利用可能なロケット「テランR」(Terran R)の開発にも取り組んでいます。テランRはエンジンを含む第1段、第2段、フェアリングの再利用が可能で、LEOに約20,000kgのペイロードを運搬する能力があるといいます。
テランRは2024年にフロリダ州・ケープカナベラルから打ち上げられる予定です。
関連:3Dプリント技術を採用したロケット「テラン1」 初打ち上げ実施 軌道到達ならず(2023年3月23日)
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Image Credit - Relativity Space Relativity Space - Rocket Relativity Space - Press Kit Space News - Relativity launches first Terran 1文/出口隼詩