私たちが住んでいる天の川銀河は「局所銀河群」と呼ばれる銀河のグループに所属しています。局所銀河群でも特に大きいのは、天の川銀河と「アンドロメダ銀河(M31)」の2つ。「さんかく座銀河(M33)」もこの2つに次いで大きな渦巻銀河です。
その他のほとんどはサイズも質量も小さい矮小銀河です。そのなかでも「大マゼラン雲」と「小マゼラン雲」の2つは天の川銀河の伴銀河(衛星銀河)としてよく知られています。
各銀河の色は、水素ガス[赤]、冷たい塵[緑]、暖かい塵[青]の分布を示しており、塵の密度や温度が銀河によって異なることを強調しています。
宇宙望遠鏡科学研究所(Space Telescope Science Institute:STScI)のクリストファー・クラーク(Christopher Clark)氏が率いる研究チームは、上記4つの局所銀河におけるガスに対する塵の比率を調査した結果、星間物質の密度が増加するにつれて、塵の比率が増加することを発見しました。この傾向は、塵の粒子が周囲のガスから物質を取り込んで大きくなるために生じているのではないかと考えられています。
星間物質は固体成分の塵と気体成分のガスからできています。塵は銀河全体の質量のうちごくわずかを占めているに過ぎませんが、新しい恒星や惑星を作る元となる星間物質を研究する上で役立つといいます。本研究は、近傍銀河の塵の進化についての知見に貢献が期待されているということです。
この画像は「AAS Nova」にて2023年4月3日付で「Featured Image:Detecting Dust in the Local Universe(特集画像:局所宇宙で塵を検出)」と題して紹介されました。
Source
Image Credit: Christopher JR Clark et al. AAS Nova - Featured Image: Detecting Dust in the Local Universe The Astrophysical Journal - The Quest for the Missing Dust. II. Two Orders of Magnitude of Evolution in the Dust-to-gas Ratio Resolved within Local Group Galaxies文/吉田哲郎