スペースXは2023年4月14日、同社の衛星ライドシェアミッション「Transporter-7」を実施しました。今回のミッションでは51機の超小型衛星が打ち上げられました。
米国太平洋夏時間2023年4月14日23時48分、スペースXの「ファルコン9」ロケットは米国カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地4E発射台から打ち上げられました。同社のライドシェアミッションの打ち上げでヴァンデンバーグ宇宙軍基地が使用されるのは、今回が初めてです。
ロケットの第1段機体は打ち上げから約7分30秒後に、基地内の地上着陸エリアへ帰還しました。今回のミッションで使用された第1段機体は、10回目の飛行となります。これまでに7回の「スターリンク」ミッションを含め、海洋観測衛星「Sentinel-6」や無人探査機「DART」の打ち上げで使用されました。
今回の打ち上げでは、第2段エンジンのノズルは従来よりも短いタイプが使用されました。スペースXによると、短いノズルを使用することでコストの削減につながるということです。
また、これまでファルコン9の第1段機体が帰還する際には3機のエンジンを使って軌道を変更し、1機のエンジンを使って着陸が行われてきました。しかし、今回の打ち上げでは1機のエンジンを用いて軌道を変更し、3機のエンジンを使って着陸する運用が行われました。SpaceNewsによると、これは今回のミッションで第2段エンジンのノズルを変更したことに伴う措置で、過去にはファルコン・ヘビーのブースターで実施されたことがあるものの、ファルコン9で行われたのは今回が初めてだということです。
Transporter-7では、前述したとおり51機の衛星がファルコン9に搭載されました。今回の衛星で最も重量がある衛星は、トルコ宇宙技術研究機構が製造した地球観測衛星「IMECE」です。その他の代表的なペイロードを以下に紹介します。
ウルグアイに本社を置く衛星ベンチャー企業Satellogicは、4機の地球観測衛星を搭載。 カナダのベンチャー企業GHGSatは、3機の温室効果ガスを観測する衛星を搭載。 米国の地球観測ベンチャー企業HawkEye 360は、3機の衛星を搭載。商用電波観測衛星を用いて地理空間情報の提供を行う。 フランスの衛星ベンチャー企業unseenlabは、同社9機目の衛星「BRO-9」を搭載。海洋状況把握を行う衛星コンステレーションの構築を目指す。 宇宙資源の採掘を目指す米国のベンチャー企業AstroForgeは、技術実証衛星を搭載。小惑星を模したサンプルから金属を精製する技術を試験する。 合成開口レーダーによる地球観測を実施する米国のベンチャー企業Umbraは、同社6機目となる衛星「Umbra-6」を搭載。
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Image Credit: SpaceX SpaceX - TRANSPORTER-7 MISSION SpaceNews - SpaceX launches seventh Transporter rideshare mission Satellogic - Satellogic Announces Successful Expansion of its Satellite Constellation Following SpaceX’s Launch of the Transporter-7 Mission GHGSat - New satellites to accelerate the fight against climate change launched into orbit with SpaceX unseenlabs - [BRO-9] UNSEENLABS’ NINTH SATELLITE SUCCESSFULLY LAUNCHED IN ORBIT AstroForge - Two steps closer to mining in deep space: Announcing two AstroForge missions for 2023 Umbra - UMBRA ACHIEVES FIRST LIGHT IN UNDER 48 HOURS HawkEye 360 - HAWKEYE 360’S NEXT-GENERATION CLUSTER 7 SATELLITES SUCCESSFULLY LAUNCH文/出口隼詩