スペースXは現地時間2023年4月30日、アメリカの通信衛星を搭載した「ファルコン・ヘビー」ロケットの打ち上げに成功しました。ロケットにはアメリカの通信衛星会社Viasatの通信衛星「ViaSat-3 Americas」などが搭載されていました。
Viasatの通信衛星などを搭載したファルコン・ヘビーは、米国東部夏時間2023年4月30日20時26分、米国フロリダ州のケネディー宇宙センター39A射点から打ち上げられました。スペースXによると、打ち上げから4時間32分後、ロケットは予定通り衛星を分離したということです。衛星は打ち上げから3週間ほどで西経88.9度の静止軌道に配置される見通しです。
ファルコン・ヘビーは第1段の中心(コア)機体、2本のブースター、第2段で構成されています。今回の打ち上げでは第1段に新造された中心機体が使用され、ブースターには「B1052」「B1053」と呼ばれる機体が再利用されました。ブースターは両方とも2019年に行われた2回のファルコン・ヘビーの打ち上げで使用されたことがあります。また、「B1052」は「ファルコン9」ロケットの第1段機体として、イタリアの地球観測衛星「CSG-2」や韓国の月周回探査機「タヌリ」、3回の「スターリンク」ミッションの打ち上げにも使用されたことがあり、今回の打ち上げでは再びブースターとして使用されました。
なお、今回のミッションではロケットの能力を向上させ、衛星を静止軌道へ直接投入する必要があったため、中心機体とブースターはすべて地上への帰還・回収が実施されませんでした。
ViaSat-3は、主に北アメリカ大陸・南アメリカ大陸の通信をカバーする「ViaSat-3 America」、ヨーロッパ、中東、アフリカをカバーする「ViaSat-3 EMEA」、アジア地域をカバーする「ViaSat-3 APAC」の3機で構成される通信衛星コンステレーションです。今回のミッションでは1機目となるViaSat-3 Americaが打ち上げられました。
ViaSat-3はボーイングが製作を担当しました。衛星の重量は6400kgで、Kaバンドを用います。通信は1000Gbps以上の容量を提供することが可能で、Viasatが2017年に打ち上げた「ViaSat-2」の3倍に匹敵する能力を有します。
また、今回のミッションでは相乗り衛星として、カリフォルニア州のベンチャー企業Astranisが開発した通信衛星「Arcturus」と、ワシントンに本社を置くベンチャー企業Gravity Spaceが開発したキューブサット「GS-1」も打ち上げられました。
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Image Credit: Viasat Viasat - ViaSat-3 Americas Successfully Launched SpaceNews - SpaceX Falcon Heavy launches first ViaSat-3 satellite文/出口隼詩