アメリカ航空宇宙局(NASA)は6月15日付で、国際宇宙ステーション(ISS)への増設が進められてきた新型太陽電池アレイ「iROSA(ISS Roll-out Solar Array)」について、6基目の設置と展開が完了したと発表しました。
巻き取り式の構造が特徴のiROSAは、既存の太陽電池アレイの経年劣化によって低下したISSの発電能力を底上げするために設置が計画されました。太陽を追尾したり発電量を調整したりするISSのシステムを最大限活用するために、iROSAは既存の太陽電池アレイに重ねるようにして設置が進められています。
iROSAの設置によって既存の太陽電池アレイは半分強が隠されるものの(サイズはiROSAが18.2m×6m、既存の太陽電池アレイが35.5m×11.6m)、合計6基のiROSAが設置されたISSの発電能力は最大で30パーセント増強されると見込まれています。2年前の2021年6月に始まったiROSAの設置作業は、これまでに5基目までが完了していました。
関連:ISSの新型太陽電池「iROSA」5基目が設置完了 最後の1基も間もなく設置へ(2023年6月14日)
6基目のiROSAは、NASAのスティーブ・ボーエン(Stephen Bowen)宇宙飛行士とウォーレン・ホバーグ(Warren Hoburg)宇宙飛行士が日本時間2023年6月15日から16日にかけて実施した5時間35分の船外活動で、ISS右舷側のS6トラス(1Bチャンネル)に設置されました。ボーエン飛行士とホバーグ飛行士は日本時間2023年6月9日から10日かけても船外活動を実施し、S4トラス(1Aチャンネル)で5基目のiROSAの設置作業を行ったばかりです。
なお、NASAによれば今回の船外活動はボーエン飛行士にとって10回目で、アメリカ人宇宙飛行士による船外活動回数の最多タイ記録となりました。また、全6基の設置が計画されていたiROSAの設置作業は今回の船外活動ですべて完了しましたが、NASAは2025年にISSへ輸送することを目標に、7基目と8基目の設置についてもiROSAを製造したボーイングと計画を立てているということです。
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Image Credit: NASA TV, JAXA NASA - Space Station (NASA Blogs)文/sorae編集部