宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年8月23日、オンラインで開催された宇宙開発利用部会の調査・安全小委員会にて、「H3」ロケット試験機1号機打ち上げ失敗の原因究明結果を報告しました。【2023年8月24日10時】
H3ロケット試験機1号機は日本時間2023年3月7日に種子島宇宙センターから打ち上げられましたが、2段目の「LE-5B-3」エンジンに点火することができず打ち上げは失敗し、搭載されていた先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」は失われました。JAXAは原因を究明するべく山川宏理事長をトップとする対策本部を設置し、様々なシナリオを想定して原因となった可能性の検討を続けてきました。
関連:【追記あり】「H3」ロケット試験機1号機は第2段エンジンが点火できず指令破壊(2023年3月7日)
8月23日の会議にあわせてJAXAが公開した資料によると、H3ロケット試験機1号機の打ち上げ失敗は2段目エンジンの点火装置に組み込まれている「エキサイタ」と呼ばれる部品で短絡(ショート)あるいは過電流による損傷が発生したか、2段目に搭載されていた「2段推進系コントローラ」(PSC2、エンジンやタンク圧力などの制御を担う)と呼ばれる装置の内部で過電流による損傷が発生した、以上3パターンのいずれかが原因だったと結論付けられました。
この結論を踏まえて、JAXAはエキサイタと2段推進系コントローラに対策を行いH3ロケットの設計に反映することで、今後の打ち上げで同様の事象が発生するのを防止するということです。日本の新たな基幹ロケットであるH3の打ち上げ再開が期待されます。
Source
Image Credit: JAXA JAXA - H3ロケット試験機1号機打上げ失敗原因調査状況について文/sorae編集部