2023年8月28日に予定されていた「H-IIA」ロケット47号機の打ち上げは中止になりました。【最終更新:2023年8月28日9時】
新着記事:【速報】H-IIAロケット47号機、8月28日の打ち上げは中止
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は8月25日、X線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」と小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」を搭載した「H-IIA」ロケット47号機の打ち上げについて、天候の悪化が予想されることから2023年8月28日に延期されたと発表しました。【2023年8月24日14時/2023年8月25日14時】
H-IIAロケット47号機の新たな打ち上げ予定日時は日本時間2023年8月28日9時26分22秒です。当初の打ち上げ予定日は2023年8月26日でしたが、天候悪化が予想されることから8月27日に一度延期されており、今回は2度目の延期判断となります。8月28日の打ち上げ可否については8月26日以降の天候状況を踏まえて再度判断されるということです。
XRISMは2016年に打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」(運用終了)の後継機として、アメリカ航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)などとも協力して開発された科学衛星です。
JAXA宇宙科学研究所(ISAS)によると、XRISMに搭載された広視野のX線撮像器とX線分光器は星間空間や銀河間空間を吹き渡るプラズマに含まれる元素やプラズマの速度を画期的な精度で測定可能とされており、星や銀河だけでなく銀河の集団が形作る大規模構造の成り立ちに迫ることが期待されています。
SLIMは月面へのピンポイント着陸技術を検証するための探査機です。月周回軌道を離れてからは月面に対して垂直の姿勢で降下しますが、着陸直前に機体を斜めに傾けて横向きに接地するという特徴的な着陸方法を採用しています。
垂直姿勢で接地する従来の探査機では傾斜が大きな斜面などには着陸できませんでしたが、水平姿勢で接地するSLIMは斜面への着陸にも対応できることから、科学的に興味深い「着陸したい場所」への高精度着陸の実現に貢献することが期待されています。
なお、SLIMには「LEV-1」および「SORA-Q」という2機の探査ロボットが搭載されています。LEV-1とSORA-QはSLIMから着陸直前に分離され、月面到達後は画像の取得と地球へのデータ送信を連携して行う予定です。
■H-IIAロケット47号機 打ち上げ予定日時打ち上げ予定日 : 2023年8月28日(月)
打ち上げ予定時刻 :9時26分22秒(日本標準時)
打ち上げ予備期間 : 2023年8月29日(火)~2023年9月15日(金)
打ち上げ場所 : 種子島宇宙センター大型ロケット発射場
※予備期間中の打ち上げ時刻は打ち上げ日毎に設定されます。
※更新にあわせて記事タイトルと本文を変更しました。
Source
Image Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学JAXA - X線分光撮像衛星(XRISM)および小型月着陸実証機(SLIM)の打上げ延期について(※2023年8月24日付)
JAXA - X線分光撮像衛星(XRISM)および小型月着陸実証機(SLIM)の打上げ延期について(その2) (※2023年8月25日付) 三菱重工業 - H-IIAロケット47号機による「X線分光撮像衛星(XRISM)」及び「小型月着陸実証機(SLIM)」の打上げ延期について(※2023年8月24日付)
三菱重工業 - H-IIAロケット47号機による「X線分光撮像衛星(XRISM)」及び「小型月着陸実証機(SLIM)」の打上げ延期について(※2023年8月25日付) ISAS - X線分光撮像衛星 XRISM ISAS - 小型月着陸実証機 SLIM
文/sorae編集部