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インド月探査機「チャンドラヤーン3号」ローバーのカメラで撮影したランダーの画像公開

sorae.jp 2023年8月31日 20時47分

インド宇宙研究機関(ISRO)は現地時間8月30日、月探査ミッション「チャンドラヤーン3号(Chandrayaan-3)」のローバー(探査車)「Pragyan(プラギャン)」に搭載されているカメラで撮影したランダー(着陸機)「Vikram(ビクラム、ヴィクラム)」の画像を公開しました。【2023年8月31日10時】

【▲ チャンドラヤーン3号のローバー「Pragyan」に搭載されているカメラで2023年8月30日に撮影されたランダー「Vikram」(Credit: ISRO)】

こちらがISROから公開された画像の1つです。ローバーに搭載されているナビゲーションカメラ(NavCam)でランダーから約15m離れた場所から日本時間2023年8月30日14時34分に撮影されました。

次に掲載する別の公開画像にはランダーに搭載されている観測装置を示す注釈が加えられています。ランダーに向かって左側から月面に降ろされている「ChaSTE(Chandra's Surface Thermophysical Experiment)」は月面の熱特性を測定する装置で、表面から深さ10cmまでの温度プロファイルを測定することができます。向かって右側から降ろされている「ILSA(Instrument for Lunar Seismic Activity)」は地震(月震)を測定する装置で、月の地殻とマントルの構造解明を目的としています。

【▲ チャンドラヤーン3号のローバー「Pragyan」に搭載されているカメラで2023年8月30日に撮影されたランダー「Vikram」(左)と、ランダーから月面に降ろされている観測装置「ChaSTE」「ILSA」を示す注釈を加えた図(右)(Credit: ISRO)】

2023年8月27日にはChaSTEで測定された最初のデータがISROから公開されました。着陸地点の温度は表面付近では50℃ほどですが、表面から8cm下ではマイナス10℃近くにまで下がることが公開されたグラフから読み取れます。ISROによれば、月の南極付近でこのような温度プロファイルが取得されたのは初めてです。

【▲ チャンドラヤーン3号のランダーに搭載されている観測装置「ChaSTE」で測定された着陸地点の表面および表面下の温度を示したグラフ(Credit: ISRO)】

続いて2023年8月28日にはローバーに搭載されているレーザー誘起破壊分光装置「LIBS(LASER Induced Breakdown Spectroscope)」で着陸地点付近の元素組成を測定した結果が公開されており、硫黄をはじめアルミニウム、カルシウム、鉄、クロム、チタンといった元素の存在が確認されました。また、水素の存在を確かめるための測定が続けられているということです。

【▲ チャンドラヤーン3号のローバーに搭載されているレーザー誘起破壊分光装置「LIBS」で取得されたデータ。着陸地点付近の元素組成が示されている(Credit: ISRO)】

チャンドラヤーン3号はISROによる3回目の月探査ミッションです。探査機は月面に着陸するランダー「Vikram(ビクラム、ヴィクラム)」、ランダーに搭載されているローバー「Pragyan(プラギャン)」、着陸前までの飛行を担う推進モジュールで構成されていて、ランダーには3基、ローバーには2基の観測装置が搭載されています。

【▲ チャンドラヤーン3号のランダー(着陸機)とローバー(探査車)(Credit: ISRO)】

2023年7月14日に打ち上げられたチャンドラヤーン3号は2023年8月5日に月周回軌道へ到達し、ランダーは日本時間2023年8月23日21時32分に月の南極付近(南緯約69度・東経約32度付近)へ着陸することに成功しました。インドとしては初めて、世界でも4か国目の月面着陸成功で、月の南極付近への着陸は世界初です。チャンドラヤーン3号のランダーとローバーのミッション期間は月での半日に相当する14日間で、8月30日の時点で予定の半分が経過したことになります。

チャンドラヤーン3号の詳しい情報については以下の特集ページをご参照下さい。

【特集】インドの月探査ミッション「チャンドラヤーン3号」

 

Source

Image Credit: ISRO ISRO - Chandrayaan-3 ISRO - LIBS confirms the presence of Sulphur (S) on the lunar surface through unambiguous in-situ measurements ISRO (X, fka Twitter)

文/sorae編集部

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