宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9月7日、同日に打ち上げられたX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」と小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」について、太陽電池パドルの展開(XRISMのみ)や太陽捕捉制御が完了したと発表しました。【2023年9月8日10時】
既報の通り、XRISMとSLIMを搭載した「H-IIA」ロケット47号機は日本時間2023年9月7日8時42分に鹿児島県の種子島宇宙センターから発射され、打ち上げは成功しました。
関連:H-IIAロケット47号機打ち上げ成功 JAXAの「XRISM」と「SLIM」を搭載(2023年9月7日)
ロケットからの分離はXRISM、SLIMの順に行われました。地球低軌道で観測を行うXRISMは高度約550kmの円軌道、SLIMは月へ向かう軌道に入る前段階となる楕円軌道に投入されています。
JAXAによると、XRISMについては打ち上げ直後の9月7日9時4分にアメリカ航空宇宙局(NASA)が運用するハワイの地上局で衛星からの信号が受信され、太陽捕捉制御が正常に行われたことを確認。続いて同日10時24分からは内之浦宇宙空間観測所で信号を受信し、太陽電池パドルの展開も完了したことが確認されました。
SLIMについては9月7日9時45分からカナリア諸島のグラン・カナリア島マスパロマスにあるJAXAの地上局で探査機からの信号が受信され、こちらも太陽捕捉制御の完了が確認されました。XRISMとSLIMの状態はどちらも正常ということです。
宇宙の構造形成と銀河団の進化、宇宙の物質循環の歴史、宇宙のエネルギー輸送と循環の研究を目的とするXRISMは初期運用段階と初期較正観測および初期性能確認観測を経て、打ち上げ約10か月後から観測提案にもとづく科学観測が開始される予定です。
また、将来の有人月面探査における月の水資源の探査などを見据えたピンポイント着陸の実証を目指すSLIMは打ち上げから3~4か月後に月周回軌道へ到着し、月を約1か月間周回した後に日本初の月面着陸を実施する予定です。
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Image Credit: JAXA, MHI JAXA - X線分光撮像衛星(XRISM)の太陽捕捉制御及び太陽電池パドルの展開完了について JAXA - 小型月着陸実証機(SLIM)の太陽捕捉制御完了について文/sorae編集部