12月、吐く息もすっかり白くなり、本格的な冬が到来しました。
しかし、星空は冬本番まであともう一歩というところです。宵の空を見上げると、まだ夏と秋の星座を楽しむことができます。
西の空低いところには夏の大三角が見られます。
特に目を引くのは「はくちょう座」の星の並びです。1等星デネブの輝く尾から、体、首、翼の星を結ぶと、大きな十字が描けます。北十字、もしくはノーザンクロスと呼ばれる形です。
12月も半ばを過ぎる頃、北十字は地平線近くに立ち上がります。冷たい冬風の中に凛と立つ北十字は、夏の空高くに羽ばたくはくちょう座とはまた違う美しさを持っています。
南西の空には秋の四辺形があります。秋の星座の王者である「ペガスス座」の体の星です。
四辺形の北側の2つの星を結んで東へ延ばすと、「おひつじ座」の2等星ハマルに結ばれます。おひつじ座のそばで輝く明るい星は、太陽系最大の惑星である木星です。
おひつじ座は冬の星座の先駆けです。おひつじ座に導かれるようにして、東の空から続々と冬の星座が上ってきます。
まず目に入るのはおうし座です。青白い星の集まり「プレアデス星団(すばる)」と、目の位置にあるオレンジ色の1等星アルデバランの対比が美しい星座です。
おうし座が上れば、まもなく冬の星座の王者オリオン座の登場です。7つの星からなるリボンのような形が東の空に見え始めると、冬の訪れを実感します。
12月は、回り舞台のように夏から秋、冬へと表情を変えていく星空を楽しめます。何かと忙しい時期ですが、たまにはホッと一息ついて空を見上げてみてはいかがですか?
■ふたご座流星群2023年12月15日午前4時頃、ふたご座流星群が極大を迎えます。ふたご座流星群は三大流星群の一つで、冬の星座「ふたご座」の方角から流れてくるように見えます。
流星群の条件の良し悪しは月齢と極大の時間で決まります。月明かりの影響が少ないほど、また極大の時間が流星群を見やすい時間に近いほど、条件は良くなります。
2023年のふたご座流星群の条件は最高です。極大の頃、月は新月を過ぎたばかりで、夜を迎える前に沈むため影響は全くありません。極大の時間も明け方と理想的です。
極大の頃には、空の暗いところで1時間に50~60個、街中でも20個程度の流れ星が見られると予想されています。
明け方に起きるのが難しいという人は、12月14日の夜が狙い目です。極大よりも数時間前ですが、すでにふたご座は地平線上にあり、流れ星を見られるチャンスは大いにあります。
ちなみに、流星群を見る時は方角にこだわらず、空全体を広く見渡した方が多くの流れ星を見つけられます。
非常に冷え込む時期ですので、温かい服装をして流れ星を探してみてください。
■冬至2023年12月22日は冬至です。冬至とは、1年のうちで太陽の出る時間が最も短くなる日のことです。
このように太陽の出る時間が変わるのは、地球が公転面に対して自転軸を23.4°傾けて公転しているためです。地球が太陽に対してどの位置にいるかによって、太陽の光が当たる角度(入射角)が変わります。
入射角が高いと日光の当たる時間が長くなり、入射角が低いと短くなるため、同じ地点でも昼夜の割合に変化が生まれます(※)。
※…赤道上においては、1年を通じて昼夜の割合はほぼ一定です。
冬至は古代より、世界各国で「太陽が生まれ変わる日」として特別視されていました。
日本においても、冬至は「一陽来復」と呼ばれています。
一陽来復とは、冬が終わって春が来ることを指す言葉です。転じて、悪いことが続いた後で幸運に向かうというとらえ方もされています。
冬至を過ぎるとますます寒さは厳しくなりますが、昼は少しずつ長くなります。そして新しい年を迎え、季節は一足一足春へと向かっていくのです。
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国立天文台 -ほしぞら情報 東京の星空・カレンダー・惑星(2023年12月) 国立天文台 -暦計算室 暦wiki 二十四節気とは? アストロアーツ -【特集】ふたご座流星群(2023年) 流星電波観測国際プロジェクト -ふたご座流星群(12月)の基本情報・観測条件文/sorae編集部