アメリカ航空宇宙局(NASA)は2023年11月29日付で、「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」に搭載されている機器の一部に不具合が生じ、望遠鏡がセーフモードに入っていることを明らかにしました。ハッブル宇宙望遠鏡の運用チームは科学観測の再開に向けて取り組んでいるということです。【最終更新:2023年12月1日14時台】
NASAによると、ハッブル宇宙望遠鏡は2023年11月19日に一度セーフモードに入り、翌日復旧させることに成功したものの、11月23日から再びセーフモードに入っています。原因は望遠鏡が向いている方向を検出するために搭載されているジャイロスコープ(ジャイロセンサー、角速度センサー)の不具合で、3基のジャイロのうち1つが誤った測定値を示したために自動的にセーフモードに切り替わったということです。
現在ハッブル宇宙望遠鏡で使用されているジャイロスコープは、2009年5月に実施された5回目にして最後のサービスミッション(スペースシャトル「アトランティス」によるSTS-125ミッション)で交換されたものです。この時に取り付けられたジャイロは全部で6基ありましたが、現在は問題が生じた1基を含む3基が稼働しています。
普段のハッブル宇宙望遠鏡は効率を最大限高めるために3基のジャイロを同時に使用していますが、姿勢を検出する他のセンサー(磁力計、太陽センサー、スタートラッカー)と連携することで、1基のジャイロだけでも科学観測を行うことが可能とされています。NASAによると、ハッブル宇宙望遠鏡の運用チームは解決策を見つけるためのテストに取り組んでいるということです。
ハッブル宇宙望遠鏡の運用状況については新たな情報が入り次第お伝えします。
Source
NASA - NASA’s Hubble Space Telescope Pauses Science Due to Gyro Issue文/sorae編集部