株式会社ispaceは12月11日、米国の民間企業Orbit Fabとの間で宇宙空間での燃料(推進剤)補給に関して協力する覚書を締結したと発表しました。
ispaceの発表によると、両社は「水や氷、月のレゴリスや月面の鉱物資源等の宇宙資源を利用した、燃料補給の新たな方法を開発すること」を目指すとされており、月面での資源マッピングや現地で入手可能な資源利用ミッション(ISRU)の実証実験に向けた協議を進めていくということです。また、Orbital Fabはispaceのランダーに燃料補給を行い、月やその周辺で長期間の実験を行うことも示唆しています。
宇宙空間での燃料補給は、軌道上の衛星や月面の着陸船を運用できる期間を延ばし、ミッションを長期化できる技術です。ispaceによると、Orbiral Fabはすでに同社開発の燃料補給ポート「Rapidly Attachble Fluid Transfer Interface(RAFTI)」を政府や民間の宇宙機に搭載しているといいます。同社の燃料補給ポートを使用することで、衛星の燃料が不足しても、衛星を運用し続けることが可能となります。
ispaceは月面ペイロード輸送サービスを手掛ける日本国内の企業です。2023年4月26日には同社にとって初めての月面着陸がHAKUTO-Rプログラム「ミッション1」で試みられましたが、月着陸船(ランダー)は月面に衝突して着陸は失敗しました。ispaceは同プログラム「ミッション2」の着陸船の開発と組立を進めており、早ければ2024年冬に打ち上げる予定だということです。
今回の締結について、ispaceの袴田武史CEOは「月面や軌道上において宇宙資源を活用するサプライチェーンを形成していくことは、ispaceのビジョンである”Expand our planet. Expland our future.”を実現するために不可欠であり、その一歩としてOrbit Fab社と協力できることを嬉しく思います」、Orbit Fabのダニエル・フェイバーCEOは「持続的かつ活気ある月経済の実現に向けて大きく貢献するもの」とコメントしています。
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Image Credit: ispace, Orbital Fab ispace - ispace、Orbital Fab社と宇宙空間での燃料補給を通じた、持続可能な月経済圏の構築に向け覚書を締結 SpaceNews - Orbit Fab and ispace to collaborate on lunar propellant harvesting and delivery文/出口隼詩