宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2023年12月25日、小型月着陸実証機「SLIM」の月周回軌道投入に成功したと発表しました。SLIMは早ければ日本時間2024年1月20日に月着陸を実施する予定です。【最終更新:2023年12月26日14時台】
月面へのピンポイント着陸技術を実証するために開発されたSLIMは、JAXAのX線分光撮像衛星「XRISM」とともに「H-IIA」ロケット47号機に相乗りする形で、2023年9月7日に種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げから約1か月後の2023年10月4日には地球を公転する月の重力を利用して軌道を変更する月スイングバイが実施されており、SLIMは月を一度離れてから再び接近する軌道上で2か月半余りに渡って飛行を続けていました。
JAXAによると、SLIMの月周回軌道投入は日本時間2023年12月25日16時51分に実施されました。現在SLIMは高度約600km×約4000km、周期約6.4時間の極軌道を飛行しています。軌道変更は所定の計画通り達成され、探査機の状態も正常とされています。
SLIMの着陸予定地点は神酒(みき)の海付近にあるシオリ・クレーター(Shioli、直径約300m)の近くで、月着陸目標日時は日本時間2024年1月20日0時20分頃(降下開始時刻は同日0時0分頃)です。成功すれば日本初、世界でも5か国目の月着陸達成となります。なお、このタイミングで着陸を実施しない場合、次の着陸機会は2024年2月16日頃に予定されています。
今後は2024年1月中旬までに遠月点(軌道上で月から最も遠ざかる点)を低下させて高度約600kmの円軌道に遷移した上で、近月点(軌道上で月に最も近付く点)を低下させて着陸への準備を進めるということです。SLIMについて詳しくは以下の関連記事もご覧下さい。
関連記事:JAXAの月探査機「SLIM」2024年1月20日に月着陸へ 成功すれば日本初(2023年12月6日)
【更新:2023年12月26日14時58分】JAXAの誤記訂正(誤:SHIORI→正:SHIOLI)にあわせてSLIMの月周回軌道模式図を差し替えました。
Source
JAXA - 小型月着陸実証機(SLIM)の月周回軌道投入結果について文/sorae編集部 速報班