宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月29日8時頃、X(旧Twitter)のSLIMプロジェクト公式アカウントにて、小型月着陸実証機「SLIM」との通信を確立して運用を再開したと発表しました。【最終更新:2024年1月29日10時台】
こちらはSLIMに搭載されている「マルチバンド分光カメラ(MBC)」のマルチバンド観測で取得された岩の画像で、発表にあわせて公開されました。観測対象の岩には愛称として犬の名前が付けられていますが、画像はそのうちの1つ「トイプードル」とされています。
MBCは月のマントルに由来するかんらん石(橄欖石)を含んだ岩の分光観測(電磁波の波長ごとの強さであるスペクトルを得るための観測)を目的としてSLIMに搭載された観測装置です。MBCで調べた月のかんらん石の組成を地球のかんらん石と比較することで、月の形成と進化の謎に迫る鍵が得られるかもしれないと期待されています。
JAXAによると、SLIMは日本時間2024年1月20日0時20分頃に日本の探査機として初めて月面へ軟着陸することに成功したものの、2基搭載されているメインエンジンのうち1基で着陸直前に生じたトラブルによって接地時の水平方向の速度や姿勢が想定外となり、太陽電池を西に向けた状態で安定してしまいました。太陽光が東から当たっていた着陸当時は太陽電池の発電が確認できなかったことから、JAXAは同日2時57分にバッテリーを回路から切り離して探査機の電源をオフにして、太陽光が西から当たるようになってからの運用再開に備えていました。
着陸から約2時間半で探査機の電源がオフになったため、MBCの観測は観測対象となる岩を特定する低解像度のスキャンが行われたのみで、高解像度のマルチバンド分光観測は電力が回復するかどうかにかかっていました。
SLIMについては新しい情報が発表され次第お伝えします。
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Source
小型月着陸実証機SLIM (X, fka Twitter)文/sorae編集部 速報班