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【速報】JAXA月探査機「SLIM」通信再確立 月の起源に迫る観測を開始

sorae.jp 2024年1月29日 10時56分

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月29日8時頃、X(旧Twitter)のSLIMプロジェクト公式アカウントにて、小型月着陸実証機「SLIM」との通信を確立して運用を再開したと発表しました。【最終更新:2024年1月29日10時台】

こちらはSLIMに搭載されている「マルチバンド分光カメラ(MBC)」のマルチバンド観測で取得された岩の画像で、発表にあわせて公開されました。観測対象の岩には愛称として犬の名前が付けられていますが、画像はそのうちの1つ「トイプードル」とされています。

【▲ 小型月着陸実証機「SLIM」の「マルチバンド分光カメラ(MBC)」によるマルチバンド観測で取得された岩、愛称「トイプードル」の画像。運用再開後の日本時間2024年1月29日8時頃に公開されたもの。SLIMプロジェクトのX公式アカウントのポストから引用(Credit: JAXA)】

MBCは月のマントルに由来するかんらん石(橄欖石)を含んだ岩の分光観測(電磁波の波長ごとの強さであるスペクトルを得るための観測)を目的としてSLIMに搭載された観測装置です。MBCで調べた月のかんらん石の組成を地球のかんらん石と比較することで、月の形成と進化の謎に迫る鍵が得られるかもしれないと期待されています。

【▲ 参考画像:SLIMのマルチバンド分光カメラ(MBC)による月面スキャンの画像(モザイク合成)を拡大したもの。観測候補の岩石に付けられた愛称が示されている。2024年1月25日公開(Credit: JAXA、立命館大学、会津大学)】

JAXAによると、SLIMは日本時間2024年1月20日0時20分頃に日本の探査機として初めて月面へ軟着陸することに成功したものの、2基搭載されているメインエンジンのうち1基で着陸直前に生じたトラブルによって接地時の水平方向の速度や姿勢が想定外となり、太陽電池を西に向けた状態で安定してしまいました。太陽光が東から当たっていた着陸当時は太陽電池の発電が確認できなかったことから、JAXAは同日2時57分にバッテリーを回路から切り離して探査機の電源をオフにして、太陽光が西から当たるようになってからの運用再開に備えていました。

着陸から約2時間半で探査機の電源がオフになったため、MBCの観測は観測対象となる岩を特定する低解像度のスキャンが行われたのみで、高解像度のマルチバンド分光観測は電力が回復するかどうかにかかっていました。

【▲ 参考画像:小型月着陸実証機「SLIM」から放出された探査ロボット「LEV-2(SORA-Q)」のカメラで撮影された画像。大きく傾きつつ接地した状態のSLIMが右奥に写っている。画像は試験画像で、もう1機の探査ロボット「LEV-1」経由の試験電波データ転送により取得されたもの。2024年1月25日公開(Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)】

SLIMについては新しい情報が発表され次第お伝えします。

 

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Source

小型月着陸実証機SLIM (X, fka Twitter)

文/sorae編集部 速報班

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