アメリカの民間宇宙企業Axiom Space(アクシオム・スペース)は2024年4月8日付で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した若田光一さんが同社に所属することを発表しました。アクシオム・スペースによると、若田さんはアジア太平洋地域の宇宙飛行士兼最高技術責任者に任命されたということです。【最終更新:2024年4月10日12時台】
1996年から2003年にかけて5回の宇宙飛行ミッションを経験し、JAXA理事などの要職も務めた若田さんは、2024年3月31日をもってJAXAを退職しました。同年3月29日の記者会見で若田さんは、今後は民間から有人宇宙活動の発展に貢献したいと語っており、今回の発表で退職後の所属先が明らかにされた形です。
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アクシオム・スペースはSpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」による独自の宇宙飛行ミッションなどを手掛ける民間企業です。民間人クルーだけで構成されたチームが国際宇宙ステーション(ISS)に滞在して実験などを行う民間主導のミッションをこれまでに3回実施している他に、月探査計画「Artemis(アルテミス)」で使用される月面探査用宇宙服を開発・提供する契約をアメリカ航空宇宙局(NASA)との間で結んでいます。
また、同社はISSの運用終了後を見据えて商用宇宙ステーション「Axiom Station(アクシオム・ステーション)」の建設も計画しており、近年存在感を強めている民間宇宙企業のひとつに数えられます。
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アクシオム・スペースにはかつてNASAに所属していた宇宙飛行士も在籍しています。その一人であり、アクシオム・スペースの主任宇宙飛行士を務めるMichael López-Alegría(マイケル・ロペス=アレグリア)さんは、同社のプレスリリースに「光一は世界的な宇宙コミュニティに認められたリーダーであり、宇宙探査における真のパイオニアです」とコメントを寄せています。
ロペス=アレグリアさんは若田さんについて、商業宇宙開発を推進しグローバルパートナーシップを促進させる技術専門家・リーダーであると同時に、「将来の民間宇宙飛行士ミッションのコマンダー」として迎え入れられたことを光栄に思い、わくわくしているともコメントしています。主任宇宙飛行士という立場にあり、自身もアクシオム・スペースの宇宙飛行ミッション「Ax-1」(2022年4月)と「Ax-3」(2024年1月~2月)でコマンダーを務めたロペス=アレグリアさんがこのように言及したことから、今後実施される同社の民間宇宙飛行ミッションで若田さんがコマンダーに任命される可能性に期待が高まります。
アクシオム・スペースは若田さんがアジア太平洋地域における同社のビジネスと戦略的存在感の拡大を主導するとともに、アクシオム・ステーションの発展にも貢献することになると言及しています。退職前の記者会見で今後の宇宙飛行について問われた時に「6度でなく7度でも8度でも行きたい」と意欲を語っていた若田さん、新天地となったアクシオム・スペースでの活躍からも目が離せません。
Source
Axiom Space - Japanese Astronaut Koichi Wakata Joins Axiom Space文・編集/sorae編集部