こちらは月周回有人拠点「ゲートウェイ(Gateway)」で最初に打ち上げられるモジュールの一つ「HALO(Habitation and Logistics Outpost)」の主要構造です。トリノにあるタレス・アレニア・スペース(Thales Alenia Space)の工場で溶接作業が完了した後の2023年10月に撮影されたもので、2024年4月2日にアメリカ航空宇宙局(NASA)が紹介しています。
ゲートウェイは米国が主導する月探査計画「アルテミス(Artemis)」の中継拠点となる宇宙ステーションで、月長楕円極軌道(Near-Rectilinear Halo Orbit: NRHO)と呼ばれる非常に細長い軌道上に構築されます。HALOはゲートウェイの居住モジュールの一つで、推進や発電などを担当するモジュール「PPE(Power and Propulusion Element)」と結合した状態で打ち上げられた後に、1年ほどかけて月長楕円極軌道に投入されます。打ち上げは2025年以降の予定で、ロケットはスペースX(SpaceX)の「ファルコン・ヘビー(Falcon Heavy)」が使用されます。
ゲートウェイが最初に使用されるのはアルテミス計画で2回目の有人月面着陸が予定されている「アルテミス4(Artemis IV)」ミッションです。同ミッションでは4名の宇宙飛行士が有人宇宙船「オリオン(Orion、オライオンとも)」に搭乗し、欧州宇宙機関(ESA)から提供されるもう一つの居住モジュール「I-Hab」をゲートウェイまで運んで結合させます。ゲートウェイの拡張に成功したクルーのうち2名は月面に降りて探査活動を行う予定です。アルテミス4ミッションの後もゲートウェイの拡張は続き、エアロックモジュールなどが追加されることになっています。
なお、日本はアルテミス計画に提供する有人与圧ローバーの開発を進めており、先日米国との間で署名した取り決めにより日本人宇宙飛行士に2回の月面着陸機会が割り当てられることになりました。同計画ではアルテミス4ミッション以降、宇宙飛行士はゲートウェイを中継拠点としてオリオン宇宙船と月着陸船を乗り換えることになります。冒頭の主要構造に支えられたHALOモジュールも、そう遠くない将来に日本人宇宙飛行士を迎えることになります。
Source
NASA – A Home for Astronauts around the Moon文・編集/sorae編集部