中国航天科技集団有限公司(CASC)は2024年4月25日(日本時間・以下同様)、3名の宇宙飛行士が搭乗した有人宇宙船「神舟18号」の打ち上げに成功しました。3名は中国宇宙ステーション(CSS)「天宮」に約半年間滞在し、科学実験や船外活動などを行う予定です。また、CSSに滞在中していた有人宇宙船「神舟17号」のクルーは神舟18号のクルーと引き継ぎを行い、4月30日に地球へ帰還しました。【最終更新:2024年5月1日13時台】
神舟18号を搭載した「長征2F」ロケットは2024年4月25日21時59分に中国北部の酒泉衛星発射センターから打ち上げられました。CASCによると、神舟18号は発射約10分後にロケットから分離され、所定の軌道に投入されました。
打ち上げから約6時間30分経った2024年4月26日4時32分、神舟18号はCSSのコアモジュール「天和」へドッキングすることに成功。その後、同船と天和を隔てるハッチが開けられ、神舟18号のクルーは2023年10月からCSSに滞在していた神舟17号のクルー3名と合流しました。
神舟18号のクルーは葉光富(よう・こうふ)宇宙飛行士、李聡(り・そう)宇宙飛行士、李広蘇(り・こうそ)宇宙飛行士です。コマンダーを務める葉飛行士は2021年に有人宇宙船「神舟13号」のクルーとして建設中のCSSに滞在した経験があります。李聡飛行士と李広蘇飛行士は2020年9月に選抜された宇宙飛行士で、今回が初飛行です。
中国科学院によると、神舟18号では水界生態系を再現する実験装置がCSSに運ばれました。この装置にはゼブラフィッシュと金魚藻(マツモ)が搭載されており、魚類の成長、生態系の働き、物質の循環に対する微小重力環境の影響が研究されるということです。
■神舟17号が地球へ帰還2024年4月30日には有人宇宙船「神舟17号」のクルー3名が地球へ帰還しました。神舟17号のクルーは湯洪波(とう・こうは)宇宙飛行士、唐勝傑(とう・しょうかつ)宇宙飛行士、江新林(こう・しんりん)宇宙飛行士で、2023年10月26日から187日間CSSに滞在しました。中国載人航天工程弁公室(CMSA、中国有人宇宙プロジェクト弁公室)によると、3名のクルーはCSS滞在中に微小重力環境下での科学実験を行いました。また、海外メディアのSpaceNewsによると、神舟17号のクルーは2回の船外活動を実施し、微小隕石によって損傷を受けたCSSの修理作業を行いました。
CMSAによると、2021年の「神舟12号」以来2回目の宇宙飛行を終えた湯飛行士の宇宙空間滞在日数は合計279日間となり、中国人宇宙飛行士による宇宙滞在時間の最長記録を更新しました。帰還したクルーの健康状態は3名とも良好だということです。
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