アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間2024年5月20日、アメリカの民間宇宙企業Sierra Space(シエラ・スペース)が開発したスペースプレーン(宇宙往還機)「Dream Chaser(ドリームチェイサー)」の初号機「Tenacity(テナシティー)」がケネディ宇宙センターに到着したと発表しました。【最終更新:2024年5月21日14時台】
NASAと商業補給サービス2(CRS-2)の契約を締結しているシエラ・スペースが開発したドリームチェイサーは、再利用可能な無人のスペースプレーンです。かつてNASAが運用していたスペースシャトルのように翼を備えており、地球へ帰還する時は滑走路に着陸します。全長は30フィート(約9m)で、最大3500ポンド(約1.5t)の貨物を国際宇宙ステーション(ISS)から地球へ持ち帰ることが可能です。打ち上げにはUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)」の「Vulcan(バルカン、ヴァルカン)」ロケットが使用されます。
また、CRS-2の下で運用されるドリームチェイサーは機体後方に「Shooting Star(シューティングスター)」と呼ばれる全長15フィート(約4.5m)の貨物モジュールを結合した状態で打ち上げられます。シューティングスターは内部に貨物を積載できる他に、外部にも3つの非与圧ペイロードを搭載することが可能です。ドリームチェイサーの輸送能力はシューティングスターと合わせて1万2000ポンド(約5.4t)に達し、帰還時に廃棄されるシューティングスターを利用することで毎回8500ポンド(約3.8t)のゴミを処分できるとされています。
NASAによると、テナシティーによるドリームチェイサーの初飛行は2024年後半に予定されています。7800ポンド(約3.5t)の物資を搭載してケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられたテナシティーは操縦性能の技術実証を行った後にISSのロボットアームを使って把持・結合され、約45日後にISSを離れてケネディ宇宙センターの打ち上げ着陸施設(旧シャトル着陸施設)へ帰還します。シエラ・スペースによると、CRS-2におけるドリームチェイサーの補給ミッションは最低でも7回実施される予定だということです。
Source
NASA – NASA, Sierra Space Deliver Dream Chaser to Florida for Launch Preparation Sierra Space – Dream Chaser Tenacity Uncrewed Cargo Spaceplane文・編集/sorae編集部