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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“ケンタウルス座”の不規則銀河「NGC 5253」

sorae.jp 2024年6月25日 21時47分

こちらは「ケンタウルス座」の方向約1100万光年先の不規則銀河「NGC 5253」です。青い星々に彩られた中心部分を取り囲むように赤色を帯びたガスと塵(ダスト)の雲が広がっている様子が捉えられています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と「広視野惑星カメラ2(WFPC2)」で観測された不規則銀河「NGC 5253」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Zezas, D. Calzetti)】

不規則銀河とは、渦巻腕(渦状腕)や回転対称の円盤部など渦巻銀河で見られるような明確な構造を持たないとされる銀河です。欧州宇宙機関(ESA)によると、非常に速いペースで大質量星の星団が形成されていることから、NGC 5253は激しい星形成活動が起きている「スターバースト銀河」や、青色の光を放つ若い高温の大質量星からなる星団が存在することで青く見える「青色コンパクト矮小銀河」にも分類されています。

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」や、かつて搭載されていた「広視野惑星カメラ2(WFPC2)」で取得したデータをもとに作成されました。

ESAによると、矮小銀河は初期宇宙の銀河に似ていると考えられていることから、星と銀河の進化を時間の経過に沿って理解する上で重要な観測対象となっています。加えて、NGC 5253は超星団(Super star cluster)が存在することからも注目されています。ESAによれば超星団は非常に明るく大規模な散開星団で、後に球状星団へ進化すると考えられている天体です。球状星団もまた星の形成と進化についての知見をもたらしてくれますが、その起源は十分に理解されてはいません。そのため、2002年のACS設置から5年間だけ機能していたACSの高解像度チャンネル(HRC)によるNGC 5253の観測などが行われたということです。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」に3つあるチャンネルのうち2002年~2007年に稼働していた高解像度チャンネル(HRC)で観測された不規則銀河「NGC 5253」の中心部分(Credit: ESA/Hubble & NASA, W. D. Vacca)】

ハッブル宇宙望遠鏡で撮影したNGC 5253の画像は“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として、ESAから2024年6月24日付で公開されています。

 

Source

ESA/Hubble – Channelling light from starbursts

文・編集/sorae編集部

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