こちらは約800光年先にある超新星残骸「ほ座超新星残骸(Vela Supernova Remnant)」の一部を捉えた画像です。フィラメント状(ひも状)の繊細な構造をともなうピンク色やオレンジ色の雲が無数の星々を背景に広がるその様子は、まるで天界を描いた絵画のようです。
超新星残骸は超新星爆発が起こった後に観測される天体です。爆発にともなって発生した衝撃波が広がって周囲のガスを加熱することで、可視光線やX線といった電磁波が放射されていると考えられています。
画像を公開したヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、「ほ座超新星残骸」は現在観測されている状態から約1万1000年前に起きた「II型超新星」の後に残された残骸だと考えられています。II型超新星は太陽の8倍以上重い大質量の恒星が引き起こすとされる超新星爆発の一種です。画像に写る残骸の構造は、外側へと広がっていく衝撃波がガスを圧縮したことで形成されたとみられています。
この画像はESOが運営するパラナル天文台(チリ)の「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」で取得した画像をもとに作成されたもので、“ESOの今週の画像”として2024年6月24日付で公開されました。
なお、2022年10月にはOmegaCAMのデータを用いて作成された「ほ座超新星残骸」の高解像度画像がESOから、2024年3月にはチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データを用いて作成された「ほ座超新星残骸」の高解像度画像が米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)から、それぞれ公開されています。こちらも是非ご覧下さい。
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Source
ESO – This is all that’s left of a giant star文・編集/sorae編集部