中国国家航天局(CNSA)は2024年6月28日付で、地球へ帰還した中国の月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」が月の裏側で採取したサンプルの引き渡し式を開催したと発表しました。発表ではサンプルの重さは1935.3グラムとされています。【最終更新:2024年6月28日12時台】
嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機です。地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としていました。
2024年5月3日(日本時間・以下同様)に打ち上げられた嫦娥6号は5月8日に月周回軌道へ到達し、上昇機を載せた着陸機が6月2日に月の裏側にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)南部への着陸に成功。6月6日には月面を離陸した着陸機と待機していた周回機がドッキングし、サンプルを移し替えられた帰還機が6月25日に内モンゴル自治区へ着陸することに成功していました。
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CNSAによると、2024年6月26日に北京で開催されたサンプルの引き渡し式は工業情報化部の金壮竜部長が主宰し、嫦娥6号の帰還機から取り出されたサンプル保管容器と証明書がCNSAの張克倹局長から中国科学院の丁赤飈副院長へと引き渡されました。前述の通り、嫦娥6号のミッションでは重さ1935.3グラムのサンプルが月の裏側で採取されたと発表されています。
アメリカのアポロ計画や旧ソ連の月探査機、それに中国の「嫦娥5号」で地球に持ち帰られた月のサンプルは、すべて月の表側で採取されたものです。月の裏側で採取したサンプルを持ち帰ったのは嫦娥6号が初めてであり、サンプルの分析を通して月の形成や内部構造などを理解する上で重要な情報が得られることが期待されます。
Source
CNSA – 嫦娥六号带回1935.3克月球样品 交接至地面应用系统 CCTV – Returner of Chang’e-6 Lunar Probe Opened After Arrival in Beijing (YouTube)文・編集/sorae編集部