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新たな星の成長を伝える“砂時計” ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した暗黒星雲「L1527」

sorae.jp 2024年7月6日 21時26分

こちらは「おうし座(牡牛座)」の方向約460光年先の暗黒星雲「L1527」です。赤く輝く中心点から上下の方向へ青白い砂時計のような構造が広がっていく様子が捉えられています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置(MIRI)で観測された暗黒星雲「L1527」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)】

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「中間赤外線観測装置(MIRI)」で取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

ウェッブ宇宙望遠鏡を運用するアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、砂時計のくびれにあたる部分には、分子雲の内部で形成され始めてから10万年ほどの原始星が存在しています。画像で赤く輝いて見えるのは原始星を取り囲んでいる分厚いガスと塵(ダスト)の層で、砂時計のような形を浮かび上がらせている青い部分は多環芳香族炭化水素(PAH)の分布に対応しています。その中間に見える白っぽい部分は、多環芳香族炭化水素、電離ガス、その他の分子が混在する領域です。

STScIは以前にもウェッブ宇宙望遠鏡の別の観測装置「近赤外線カメラ(NIRCam)」で観測したL1527の画像を公開しています。こうした砂時計状の構造は原始星の回転軸方向にガスが放出されることで形成されるのですが、原始星が成長する過程で周辺の分子雲を取り込んだり押しのけたりするにつれて薄れていきます。新たな星の誕生と成長を告げる印象的な光景はやがて消え去り、雲に隠されなくなった若い星は可視光線でも観測できるようになります。

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・まるで輝く砂時計のような暗黒星雲。ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影(2022年11月18日)

冒頭の画像はSTScIから2024年7月2日付で公開されています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された暗黒星雲「L1527」(Credit: Science: NASA, ESA, CSA, STScI; Image Processing: Joseph DePasquale (STScI), Alyssa Pagan (STScI), Anton M. Koekemoer (STScI) )】

 

Source

STScI – NASA’s Webb Captures Celestial Fireworks Around Forming Star

文・編集/sorae編集部

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