実業家のJared Isaacmanさんが率いる「Polaris Program(ポラリス・プログラム)」は2024年7月4日付で、同プログラム初の有人宇宙飛行ミッション「Polaris Dawn(ポラリス・ドーン)」の打ち上げが早ければ2024年7月31日に実施される予定であることを明らかにしました。【最終更新:2024年7月12日10時台】
Polaris Dawnは4名のクルーがアメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)の有人宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」に搭乗し、地球低軌道で史上初の商業船外活動などを行うことを目的とするミッションです。コマンダーを務めるIsaacmanさんは、2021年9月に実施された史上初の民間人クルーだけの宇宙飛行ミッション「Inspiration4(インスピレーション4)」でもコマンダーを務めた経験があり、Polaris Dawnは2回目の宇宙飛行ミッションとなります。
関連記事
・スペースX、Inspiration4のクルーが無事に帰還 世界初の民間人のみによる宇宙旅行が成功(2021年9月20日)
Polaris Programによると、Polaris Dawnのクルーは地球低軌道に最大5日間滞在します。ミッション最大の目的は前述の通り史上初の民間による船外活動(EVA)で、SpaceXが2024年5月に発表した新開発の船外活動用宇宙服が使用されます。月や火星で基地や都市を建設する際には大量の宇宙服が必要となることから、宇宙服の開発と船外活動の実施は将来の長期ミッションにおける拡張可能な宇宙服の設計に向けた重要なステップとされています。
関連記事
・スペースXが船外活動用宇宙服を公開 民間主導のミッションで使用予定(2024年5月9日)
なお、Crew Dragonには国際宇宙ステーション(ISS)のようなエアロックが存在せず、クルーは機体先端(ISSへのミッションではドッキングポートが備わっている部分)のハッチを開放して出入りします。そのため、Polaris Dawnで船外活動を行う時には船内全体の空気を一旦排出する必要があり、クルーは全員が船外活動用宇宙服を着用することになります。
また、Polaris Dawnでは船外活動だけでなく、人間の健康に対する宇宙飛行と宇宙放射線の影響をより深く理解するための研究や、SpaceXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を利用したレーザーによる光通信のテストも行われる予定だということです。
Source
Polaris Program – Polaris Dawn文・編集/sorae編集部