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世界初の有人月面着陸に成功した「アポロ11号」から今年で55年

sorae.jp 2024年7月22日 20時29分

こちらは今から55年前、1969年7月21日(日本時間・以下同様)に月の「静かの海」で撮影された写真です。

【▲ 月面に立つ「アポロ11号」のバズ・オルドリン宇宙飛行士(Credit: NASA)】

星条旗の隣に立っているのはアメリカ航空宇宙局(NASA)の有人月探査計画「アポロ計画」における初の有人月面探査ミッションとなった「Apollo 11(アポロ11号)」のBuzz Aldrin(バズ・オルドリン)宇宙飛行士で、撮影したのはアポロ11号の船長を務めたNeil Armstrong(ニール・アームストロング)宇宙飛行士です(いずれも当時)。アポロ11号の月面着陸から2024年7月21日で55年が経ったことを記念して、NASAは当時数多く撮影された写真の一部を紹介しています。

【▲ アポロ11号のクルー。左から:ニール・アームストロング宇宙飛行士、マイケル・コリンズ宇宙飛行士、バズ・オルドリン宇宙飛行士(Credit: NASA)】

アポロ11号のクルーは船長のアームストロング宇宙飛行士、月着陸船操縦士のオルドリン宇宙飛行士、司令船操縦士のMichael Collins(マイケル・コリンズ)宇宙飛行士です。3名が乗り込んだ司令・機械船「Columbia(コロンビア)」は1969年7月16日22時32分(アメリカ東部夏時間同日9時32分)、月着陸船「Eagle(イーグル)」とともにアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センター39A射点から大型ロケット「Saturn V(サターンV)」で打ち上げられました。

【▲ アポロ11号のクルー3名を乗せて打ち上げられたアメリカ航空宇宙局(NASA)の「サターンV」ロケット(Credit: NASA)】

月へ向かう軌道に投入された司令・機械船と月着陸船は7月20日に月周回軌道に到着し、翌21日2時44分にはアームストロング宇宙飛行士とオルドリン宇宙飛行士を乗せた月着陸船が切り離されました。司令・機械船に残ったコリンズ宇宙飛行士による目視検査の後、月着陸船はエンジンを始動して降下を開始。1969年7月21日5時17分(アメリカ東部夏時間同年7月20日16時17分)に静かの海へ着陸することに成功しました。

【▲ 史上初の有人月面着陸に向かう月着陸船「イーグル」から撮影された司令・機械船「コロンビア」(Credit: NASA)】 【▲ 司令・機械船「コロンビア」から撮影された月着陸船「イーグル」(Credit: NASA)】

アームストロング宇宙飛行士は1969年7月21日11時56分、人類史上初めて月面に降り立った人物となりました。有名な「That’s one small step for man, one giant leap for mankind.(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ)」という言葉が述べられたのもこの時です。

【▲ 月震計の隣に立つバズ・オルドリン宇宙飛行士と月着陸船「イーグル」(Credit: NASA)】

アームストロング宇宙飛行士は続いて月着陸船から降りたオルドリン宇宙飛行士とともに、合計約22kgのサンプルの採取、月震計やレーザーリトロリフレクター(再帰反射器)の設置、写真撮影などを行いました。

【▲ 被写体であるバズ・オルドリン宇宙飛行士のヘルメットのバイザーに撮影したニール・アームストロング宇宙飛行士が映り込んだ写真(Credit: NASA)】

月着陸船のハッチは7月21日14時11分に閉じられ、史上初の月面での船外活動は終了しました。船内で休息やシステムチェックが行われた後、2人を乗せた月着陸船の上昇段は7月22日2時54分に離陸し、同日6時34分にコリンズ宇宙飛行士が待っていた司令・機械船とドッキングすることに成功。アームストロング宇宙飛行士とオルドリン宇宙飛行士が司令・機械船に乗り換えた後の同日9時1分に無人の状態で再び切り離された月着陸船の上昇段は、1~4か月後に月面へ衝突したと推定されています。

【▲ 月面から離陸して司令・機械船「コロンビア」に接近する月着陸船「イーグル」の上昇段。背景には月と地球が見えており、撮影したマイケル・コリンズ宇宙飛行士を除く当時の全人類を収めた写真と表現される(Credit: NASA)】

7月22日に月周回軌道を離れた司令・機械船は大気圏再突入前に司令船と機械船が分離。3名を乗せた司令船は1969年7月25日1時50分(アメリカ東部夏時間同年7月24日12時50分)に太平洋へ着水することに成功し、アメリカ海軍の空母に無事回収されました。

【▲ 司令船の着水後、アメリカ海軍士官とともにボートに乗り移ったアポロ11号の3名の宇宙飛行士。全員が隔離服を身に着けている(Credit: NASA)】

月面に降りた宇宙飛行士が月の微生物を地球に持ち込んでしまう可能性を考慮して、アポロ11号の3名はヘリコプターへ収容される前に生物学的隔離服を着用。空母に到着してすぐに移動式の隔離施設に移り、その中で21日間を過ごすことになりました。

【▲ 移動式隔離施設の窓越しにそれぞれの妻と再会したアポロ11号の3名の宇宙飛行士(Credit: NASA)】

アポロ計画の有人月面探査は1972年12月の「Apollo 17(アポロ17号)」で終了しました。2024年7月21日の時点で、同計画で着陸した12名を除いて月に降り立った人間は一人もいません。なお、アポロ11号のアームストロング氏は2012年に、コリンズ氏は2021年にお亡くなりになりましたが、オルドリン氏は月面着陸から55年経った今もご健在で、SNSでの情報発信も行っています。

July 20th, 1969 is a date that stands high in my life – it was the day that we, together as one people, achieved the greatest scientific and technological feat in human history. The specific role that Neil, Mike and I performed in the event was but one part of an immeasurably… pic.twitter.com/PolqssqYCO

— Dr. Buzz Aldrin (@TheRealBuzz) July 20, 2024

【▲ 55年前の月面着陸を振り返ったバズ・オルドリン氏がXに投稿したポスト】

アポロ計画から半世紀以上が経った今、NASAは国際的な月探査計画「アルテミス計画」を主導し、再び人間を月に送り込もうとしています。

2022年11月から12月にかけて実施されたアルテミス計画最初のミッション「Artemis I(アルテミス1)」では、NASAの新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」が月周辺までの無人試験飛行に成功。2025年9月以降に予定されている同計画最初の有人ミッション「Artemis II(アルテミス2)」ではオリオン宇宙船に4名の宇宙飛行士が搭乗し、アポロ計画以来となる月周辺への有人飛行が行われます。

【▲ アルテミス1ミッションで月周辺への往復飛行を行った無人のオリオン宇宙船。月と地球が写っている。2022年11月28日撮影(Credit: NASA)】

そして2026年9月以降に実施される「Artemis III(アルテミス3)」では、アメリカの民間企業SpaceX(スペースX)が開発中の月着陸船「Starship HLS(スターシップHLS)」に2名の宇宙飛行士が搭乗し、アポロ17号以来の有人月面着陸が行われる予定です。

【▲ 月に着陸したHLS(有人着陸システム)仕様のスターシップを描いた想像図(Credit: SpaceX)】

 

Source

NASA – 55 Years Ago: Apollo 11’s One Small Step, One Giant Leap NASA – NASA History

文・編集/sorae編集部

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