アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年7月23日付で、NASAの大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」2号機のコアステージ(1段目)がアメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターに到着したと発表しました。【最終更新:2024年7月24日13時台】
SLSはアメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」などで使用するためにNASAが開発した大型ロケットです。初号機による初飛行は2022年11月の無人ミッション「Artemis I(アルテミス1)」で、NASAの新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」などの打ち上げに成功しました。
今回ケネディ宇宙センターに到着したのはアルテミス計画初の有人ミッションとなる「Artemis II(アルテミス2)」の打ち上げに使用される2号機のコアステージです。アルテミス2は同計画初の有人月面着陸が予定されている「Artemis III(アルテミス3)」ミッションに先立ちオリオン宇宙船の有人飛行試験を行うためのミッションで、4名の宇宙飛行士が1972年12月の「Apollo 17(アポロ17号)」以来半世紀ぶりに月周辺を飛行します。
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SLSのコアステージは高さ65m・直径8.4mで、スペースシャトルに搭載されていた「SSME」の改良版である「RS-25」エンジンが4基搭載されています。2号機のコアステージはNASAのロケット用運搬船「Pegasus(ペガサス)」に積み込まれ、アメリカ・ルイジアナ州にあるNASAのミシュー組立工場からケネディ宇宙センターの埠頭までメキシコ湾と大西洋を7日間かけて輸送されました。
本稿の最終更新時点では、コアステージはまだ運搬船から降ろされていません。運搬船から降ろされた後のコアステージはケネディ宇宙センターのロケット組立棟(VAB)に運び込まれ、2基の固体燃料ロケットブースターと上段(2段目)の結合や、ペイロードであるオリオン宇宙船の搭載といった作業が進められることになります。NASAによると、2024年7月時点で、アルテミス2ミッションの打ち上げは2025年9月以降に実施される予定だということです。
なお、SLSの機体構成は「RL-10」エンジンを1基搭載する「ICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage、暫定的な極低温推進ステージ)」を上段に採用した「ブロック1」の他に、RL-10を4基搭載するより大型の「EUS(Exploration Upper Stage、探査上段)」を上段に採用した「ブロック1B」や、EUSに加えて改良された固体燃料ロケットブースターを採用した「ブロック2」が計画されています。アルテミス1でも飛行したICPSはアルテミス3まで使用され、月周回有人拠点「Gateway(ゲートウェイ)」へのモジュール追加作業も行う「Artemis IV(アルテミス4)」以降はEUSが使用される予定です。
Source
NASA – NASA’s Artemis Rocket Core Stage Journeys to Florida文・編集/sorae編集部