こちらは「はくちょう座(白鳥座)」の方向約7200光年先の惑星状星雲「コホーテク3-46(Kohoutek 3-46)」です。名前の「コホーテク」は、この星雲を発見したチェコの天文学者ルボシュ・コホーテクに由来しています。コホーテクは彗星の発見者としても知られています。
惑星状星雲とは、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が進化する過程で形成されると考えられている天体です。太陽のような恒星が主系列星から赤色巨星に進化すると、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)が放出されるようになります。やがてガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが中心星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになるとされています。
アメリカ国立科学財団(NSF)国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、現在観測されているコホーテク3-46は誕生から2万年ほど経った姿だと推定されています。砂時計や蝶にたとえられるコホーテク3-46の形は、双方向に放出されたガスによって形作られています。惑星状星雲のうち約10~20%がこのような双極性の構造を持つということです。
冒頭の画像はハワイのマウナケア山で運用されているジェミニ天文台の「ジェミニ北望遠鏡」で撮影されたもので、NOIRLabの“今週の画像”として2024年7月24日付で公開されています。
Source
NOIRLab – A ‘Butterfly’ from Death’s Door文・編集/sorae編集部