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ULA、USSF-51に成功 Atlas Vによるアメリカ宇宙軍の衛星打ち上げは最後

sorae.jp 2024年8月10日 11時7分

アメリカの民間宇宙企業United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)は2024年7月30日(日本時間・以下同様)、同社のロケット「Atlas V(アトラスV)」を使用したアメリカ宇宙軍の宇宙システムコマンド(SSC)の衛星打ち上げミッション「USSF-51」に成功しました。

【▲ ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられたAtlas V(Credit: ULA)】

衛星を搭載したAtlas Vは2024年7月30日19時45分にアメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第41発射施設から打ち上げられました。SSCとULAは発射7時間後にミッションの成功を宣言しました。ULAによると衛星は静止軌道に直接投入されたということです。

ULAは民間企業の衛星のほかにも米国の軍や安全保障に関連する衛星の打ち上げも行っています。USSF-51はULAにとって100回目の国家安全保障に関わる衛星の打ち上げとなりました。このような米国の安全保障関連の衛星打ち上げは国家安全保障打ち上げプログラム(National Security Space Launch program:NSSL)の契約で実施されますが、NSSLにおいてAtlas Vが打ち上げられるのは今回が最後です。次回以降のULAによるNSSLミッションは新型ロケット「Vulcan(ヴァルカン、バルカン)」が使用されることになります。

海外メディアのSpaceNewsによると、USSF-51は2020年にアメリカ宇宙軍がULAとSpaceX(スペースX)と契約した「NSSL Fhase2」において実施されました。SpaceXは2023年1月にFhase2で打ち上げを実施したものの、ULAは今回が初となります。また当初USSF-51はVulcanを利用して打ち上げる予定でしたが、Vulcanの開発と初飛行延期によって打ち上げ実績のあるAtlasVが使用される結果となりました。

【▲ USSF-51はULAにとって100回目の安全保障関連の衛星打ち上げとなった。100回の打ち上げを記念して公開された図には99回分の安全保障関連の打ち上げミッションやミッションパッチ、軌道、射場、ロケットがまとめられている。(Credit: ULA)】

ULAはAtlasVからVulcanへの置き換えを進めています。Vulcanは2024年1月8日に初飛行し、アメリカの民間企業「Astrobotic(アストロボティック)」の月着陸船「Peregrine(ペレグリン)」を搭載した打ち上げミッション「Certification-1(Cert-1)」を実施しました。

ULAによると、同社による次回のミッションは「Certification-2(Cert-2)」を予定しているということです。Cert-2では民間宇宙企業Sierra Space(シエラ・スペース)のスペースプレーン(宇宙往還機)「Dream Chaser(ドリーム・チェイサー)」を打ち上げる予定となっています。しかしSpaceNewsが2024年6月26日付で公開した記事では、ULAがCert-2でDream Chaserを打ち上げず、ペイロードを変更する可能性を示唆しています。ただしULAからの公式発表は現時点(2024年8月8日)では存在せず、正式な情報を待つのみの状態です。

 

Source

ULA - USSF-51 ULA - United Launch Alliance Successfully Launches 100th National Security Mission ULA - USSF-51: ULA's 100th national security launch SSC - U.S. Space Force’s Space Systems Command launches final National Security Space Atlas V mission aboard United Launch Alliance Rocket SpaceNews - ULA’s Atlas 5 launches its final national security mission SpaceNews - ULA changes payloads for second Vulcan launch

文/出口隼詩 編集/sorae編集部

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