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巨大な赤色巨星「かじき座R星」の泡立つ表面をアルマ望遠鏡が観測

sorae.jp 2024年9月23日 21時0分

こちらは電波(サブミリ波)で観測された「かじき座R星(R Doradus)」です。2023年7月~8月にかけて取得された3つの画像が左から順に並べられています。かじき座R星は「かじき座(旗魚座)」の方向約180光年先にある赤色巨星で、直径は実に太陽の約350倍。もしも太陽とかじき座R星を置き換えれば、地球はもちろん火星の公転軌道付近まで飲み込まれてしまうほどの大きさです。

【▲ アルマ望遠鏡(ALMA)で観測された赤色巨星「かじき座R星(R Doradus)」。2023年7月~8月にかけての3回の観測結果が左から順に並べられている。一番左の画像には比較として地球の公転軌道の大きさを示した円が描かれている(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/W. Vlemmings et al.)】

ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、あちこちに見える明るい部分は高温のガスの泡で、かじき座R星の表面に浮かび上がっては沈んでいく様子が間隔を空けた観測を通じて捉えられました。泡の大きさは太陽の75倍にも達するといいます。

この画像はチリの電波望遠鏡群「アルマ望遠鏡(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array: ALMA)」で取得したデータをもとに作成されました。観測データの分析を行った研究チームの筆頭であるチャルマース工科大学のWouter Vlemmingsさんは「実際の星の泡立つ表面をこのように見ることができたのは初めてです」とコメントしています。

【▲ アルマ望遠鏡(ALMA)で観測された赤色巨星「かじき座R星(R Doradus)」のアニメーション画像。2023年7月~8月にかけての3回の観測結果を使って作成されたもの(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/W. Vlemmings et al.)】

今回観測されたかじき座R星の泡は、太陽の対流の仕組みにもとづいた予想よりも速い1か月ほどの周期で動いているように見えるといいます。Vlemmingsさんは「違いの理由はまだわかっていません。星が年を取るにつれて対流はどのように変化するのか、まだ理解できていないことがあるようです」と指摘しています。

かじき座R星の質量は太陽に近いことから、同じように赤色巨星へと進化する数十億年後の太陽の姿に似ていると考えられています。そんなかじき座R星の観測は、太陽のような星が低温で巨大な泡立つ星になった時にどのように振る舞うのかを理解する手助けになっているということです。

アルマ望遠鏡が観測したかじき座R星の画像はESOから2024年9月11日付で公開されています。また、研究チームの成果をまとめた論文はNatureに掲載されています。

【▲ 可視光線で撮影された「かじき座R星(R Doradus)」とその周辺(Credit: ESO/Digitized Sky Survey 2. Acknowledgement: Davide De Martin)】

 

Source

ESO - Astronomers track bubbles on star's surface in most detailed video yet ALMA - Astronomers track bubbles on a star's surface in the most detailed video yet Vlemmings et al. - One month convection timescale on the surface of a giant evolved star (Nature)

文・編集/sorae編集部

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