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衝突した渦巻銀河と楕円銀河 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した相互作用銀河「Arp 107」

sorae.jp 2024年9月25日 21時23分

こちらは「こじし座(小獅子座)」の方向約4億6500万光年先の相互作用銀河「Arp 107(アープ107)」です。向かって右の渦巻銀河「UGC 5984」と左の楕円銀河「MCG+05-26-025」は合体の過程にあり、現在観測されている姿から数億年前に衝突したと考えられています。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ(NIRCam)と中間赤外線観測装置(MIRI)で観測された相互作用銀河「Arp 107」(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI)】

相互作用銀河とは、接近したり衝突したりすることで重力の影響を及ぼし合っている複数の銀河のこと。そのなかには潮汐力によって形が大きくゆがんだり、渦巻腕(渦状腕)が長い尾のように伸びていたりするものもあり、時に生物的な印象を受ける姿をしていることもあります。Arp 107の場合、MCG+05-26-025が衝突して通り抜けたために、UGC 5984の渦巻腕の一部が乱れているのがわかります。

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」と「中間赤外線観測装置(MIRI)」で取得したデータを使って作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

ウェッブ宇宙望遠鏡を運用するアメリカの宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)によると、MCG+05-26-025はUGC 5984の中心から外れた場所に衝突した可能性が高いと考えられています。もしも中心部分に正面から衝突していたら、「車輪銀河(Cartwheel Galaxy)」のようなリング状の構造が形成されていたかもしれません。

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また、星の材料である銀河内のガスが衝突によって圧縮されたことで、UGC 5984では以前から起きていた星形成が促進され、より多くの星が形成されるようになったとみられています。その一方で、衝突にはガスを分散させて失わせる可能性があることも、ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データは明らかにしているということです。

冒頭の画像は、STScI、アメリカ航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)から2024年9月18日付で公開されています。

 

Source

STScI - NASA's Webb Provides Another Look Into Galactic Collisions NASA - NASA's Webb Provides Another Look Into Galactic Collisions ESA/Webb - Webb provides another look into galactic collisions

文・編集/sorae編集部

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