人跡未踏の天体にロボットを送り込む探査ミッション。夜空に浮かぶ月へ人間を降り立たせた有人宇宙飛行計画。数十億光年以上も離れた遠い銀河の観測。そして途切れることなく常に誰かが滞在している宇宙ステーションの建設。
翼を持たない人間は技術を駆使して宇宙に進出し、肉眼ではとても見えない遥か彼方の天体も研究できるようになりましたが、そんな世界の宇宙開発で重要な役割を果たしている組織の一つがアメリカ航空宇宙局(NASA)です。NASAは2024年10月1日で正式な活動の開始から66年を迎えました。
1958年に設立されたNASAは、1961年に「マーキュリー計画」でアメリカ初の有人宇宙飛行、1969年に「アポロ計画」で世界初の有人月面着陸を達成。1981年から2011年まで運用された「スペースシャトル」では人工衛星や無人探査機の打ち上げに留まらず、1998年からは「国際宇宙ステーション(International Space Station: ISS)」の建設も行われました。
NASAの活動は有人宇宙飛行だけではありません。1977年に打ち上げられた惑星探査機「ボイジャー2号」は木星・土星・天王星・海王星をフライバイ観測した後、同型機の「ボイジャー1号」とともに太陽圏を脱出して星間空間に到達し、2024年現在も観測データを送信中。NASAと欧州宇宙機関(ESA)が開発して1990年に打ち上げられた「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」は、打ち上げから30年以上が経った今も太陽系の惑星から遠方の銀河まで様々な天体を観測しています。
また、NASA・ESA・カナダ宇宙庁(CSA)が開発して2021年に打ち上げられた「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」も科学観測の成果を上げ始めています。NASAはハッブルやウェッブ以外にもいろいろな宇宙望遠鏡や天文衛星によるミッションを行っており、その観測データは宇宙の様々な謎を解明する上で研究者の助けとなっています。
現在のNASAは「アルテミス計画」の下でアポロ計画以来となる有人月面着陸を2026年以降に行うことを目指しているだけでなく、将来の有人火星探査の実施も見据えています。その火星では「パーシビアランス(Perseverance)」をはじめとするNASAの周回探査機や探査車が探査活動を行っていますし、NASAは直近では木星の衛星エウロパの観測を目的とした無人探査機「エウロパ・クリッパー(Europa Clipper)」の打ち上げを2024年10月に予定。また、土星の衛星タイタンを探査するドローン型の探査機「ドラゴンフライ(Dragonfly)」や新型の「ナンシー・グレイス・ローマン宇宙望遠鏡(Roman Space Telescope)」などによる様々なミッションも計画しています。民間企業の役割が高まってきた地球低軌道を越えて、宇宙探査の最前線を担うNASAの今後の活動からも目が離せません。
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文・編集/sorae編集部