こちらは「いっかくじゅう座(一角獣座)」の方向約5000光年先の星雲「ばら星雲(Rosette Nebula)」です。星雲の直径は約130光年、中心ではこの星雲で約200万年前に誕生した散開星団「NGC 2244」の星々が輝きを放っています。
この画像はチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データをもとに作成されました。DECamはその名が示すように暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、画素数は約520メガピクセル、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影することができます。当初の目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。
バラの花びらを思わせる赤い雲は、星団の若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放つ領域です。大質量星は紫外線だけでなく星風も生み出しており、星雲の中心部分を侵食して空洞を形作っています。若く熱い星からの放射は強力であり、優雅な「ばら星雲」も1000万年ほど後には消滅すると予想されています。
冒頭の画像は米国科学財団(NSF)国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)の設立5周年を記念して、NOIRLabから2024年10月1日付で公開されています。
Source
NOIRLab - Radiant Stars at the Heart of a Cosmic Rose文・編集/sorae編集部