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豪華絢爛 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した超星団「ウェスタールンド1」

sorae.jp 2024年10月8日 21時29分

こちらは「さいだん座(祭壇座)」の方向約1万2000光年先の星団「ウェスタールンド1(Westerlund 1)」です。ウェスタールンド1には非常に重い恒星が何百個も集まっており、そのなかには明るさが太陽の100万倍近いものや、サイズが太陽の2000倍もあるものが含まれているといいます。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ(NIRCam)で観測された星団「ウェスタールンド1(Westerlund 1)」(Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, M. Zamani (ESA/Webb), M. G. Guarcello (INAF-OAPA) and the EWOCS team)】 超星団ウェスタールンド1とは?

欧州宇宙機関(ESA)によると、幅6光年未満の狭い範囲に太陽の5万倍~10万倍もの質量が集まっているウェスタールンド1は「超星団(Super Star Cluster)」のひとつとして知られています。超星団は質量が太陽の1万倍以上もあるような若い星団です。恒星は質量が大きいほど寿命が短く、ウェスタールンド1は形成されてからまだ350万年~500万年しか経っていないと推定されています。

赤外線観測された「疑似カラー画像」

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

ウェッブ宇宙望遠鏡の独特な回折スパイク

星から伸びた針状の光は望遠鏡の構造によって生じる回折スパイク(diffraction spike)と呼ばれるものです。大小8本の光芒からなるウェッブ宇宙望遠鏡の独特な回折スパイクは、宝石箱にもたとえられる星団をさらに美しく飾り立てているかのようです。

天の川銀河における星形成ピークと超星団ウェスタールンド1の役割

天の川銀河の星形成活動は今から100億年ほど前に1年あたり数十~数百個のペースで星を生み出すピークを迎えたとみられていますが、当時の星形成の多くはこのような超星団で起きたと考えられています。現在の宇宙に存在する超星団であるウェスタールンド1は、多くの星々が生み出された当時についての重要な手がかりを与えてくれるということです。

冒頭の画像は“ウェッブ宇宙望遠鏡の今月の画像”としてESAから2024年10月4日付で公開されています。

 

 

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・星々を生み出す幻想的な星形成領域「NGC 1333」 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測(2024年9月2日)

Source

ESA/Webb - The exotic stellar population of Westerlund 1

文・編集/sorae編集部
#Webb #JWST

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