宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年10月8日付で、初期機能確認運用中の先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」が、静止軌道上の「光データ中継衛星」との間で波長1.5μmのレーザー光を用いた通信速度1.8Gbpsの光衛星間通信に成功したと発表しました。
「だいち4号」は2014年5月に打ち上げられた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」の後継機として開発されたJAXAの地球観測衛星で、2024年7月1日に「H3」ロケット3号機で打ち上げられました。「だいち4号」には「だいち2号」から能力が向上したLバンド合成開口レーダー(SAR)「PALSAR-3」と、船舶自動識別装置(AIS)の信号を受信して船舶情報を取得する船舶自動識別信号受信器「SPAISE3」の他に、静止軌道上の衛星と光衛星間通信を行うための低軌道衛星用光ターミナル「OLLCT」が搭載されています。
光ターミナルはJAXAが開発を進めている光衛星間通信システム「LUCAS」で使用される送受信機で、「光データ中継衛星」にも静止衛星用光ターミナル「OGLCT」が搭載されています。発表によると、JAXAは2024年8月20日から約4万km離れている「光データ通信衛星」と「だいち4号」の間で相互の捕捉・追尾を確立し、「だいち4号」へのコマンド送信および「だいち4号」からのテレメトリ取得に成功しました。1.5μmの波長帯における通信速度1.8Gbpsでの静止軌道-低軌道間の光衛星間通信に成功したのは世界初とされています。
今回実証された通信速度1.8Gbpsは、前世代のデータ中継技術衛星「こだま」(DRTS、2002年9月打ち上げ・2017年8月運用終了)の伝送速度240Mbpsから7.5倍に向上しています。また、1.5μmの波長帯は地上の光ファイバー通信網でも用いられる汎用的かつ高い性能を有する波長であることから、今後は宇宙での利用が見込まれるといいます。
JAXAによると、地球を周回している低軌道衛星と地上局の間では一般的な1日あたりの通信時間が約1時間に限られるところ、静止衛星で中継するLUCASでは約9時間と大幅に増加します。地上局とは直接通信できない場所で取得したデータをリアルタイムで伝送したり、緊急時にLUCAS経由でコマンドを送信して迅速に画像を取得したりできるといったメリットがあるといいます。
JAXAは引き続き「だいち4号」と「光データ中継衛星」を用いて衛星どうしの距離や位置関係の違いが通信品質にどのような影響を及ぼすのか等を評価する実証実験を継続してLUCASの実用化を目指すとともに、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」といった他の宇宙機からの観測・実験データをLUCASで中継して地上局に伝送する実証を行う予定だということです。【最終更新:2024年10月8日15時台】
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Source
JAXA - 光衛星間通信システム(LUCAS)と先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)間での世界最速「通信速度1.8Gbps」の光衛星間通信に成功 JAXA - 光衛星間通信システム「LUCAS」文・編集/sorae編集部
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