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走るニワトリの“とさか”? ESOの望遠鏡が撮影した輝線星雲「Gum 39」

sorae.jp 2024年10月17日 21時16分

こちらは「ケンタウルス座」の輝線星雲「Gum 39(ガム39)」です。無数の星々がきらめく夜空に浮かび上がった、夕焼けに染まる雲を思わせる幻想的で柔らかなその姿。遠い宇宙の神秘をそっと語りかけてくる絵画のような星雲です。

【▲ 輝線星雲「Gum 39」(Credit: ESO/VPHAS+ survey)】

輝線星雲は若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている星雲で、HII(エイチツー)領域とも呼ばれています。こうした領域はガスと塵(ダスト)を材料に星を形成する星形成領域であり、新たな星が誕生する現場であることから“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。

走るニワトリの“とさか”に見える?見えない?

この画像はヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するチリのパラナル天文台にある「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」の広角カメラ「OmegaCAM」で取得したデータをもとに作成された高解像度画像の一部(※記事の後半に掲載)を拡大したものです。Gum 39の周囲には他にも幾つかの輝線星雲が存在していて、その全体の姿から海外では「Running Chicken Nebula(走るニワトリ星雲)」の別名でも知られています。

“ニワトリ”の見え方は人によって異なるようですが、ESOはその代表例としてGum 39を“ニワトリのとさか”にたとえています。ちなみに筆者もGum 39が“とさか”に見える者の一人ですが、あなたにはどんな“ニワトリ”が見えますか?

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・南天の夜空を駆ける「走るニワトリ星雲」ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡で撮影(2024年1月4日)

【▲ 参考画像:2023年12月にESOが公開した「走るニワトリ星雲」の全体像(天体名の注釈やサイズ比較用の月の画像を追加したバージョン)(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU)】 走るニワトリ星雲の観測目的

VSTによる“走るニワトリ星雲”の観測は、星がどのようにして生まれて死んでいくのかを理解するために恒星や星雲を可視光線の波長で観測する、ESOの大規模サーベイ「VPHAS+」(VST Photometric H alpha Survey of the Southern Galactic Plane and Bulge)の一環として実施されたということです。

冒頭の画像はESOの“今週の画像”として2024年10月14日付で公開されています。

 

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Source

ESO - Fireworks of newborn stars

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
#ESO #輝線星雲

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