United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)が日本時間2024年10月4日に実施した「Vulcan(ヴァルカン、バルカン)」ロケット2号機の打ち上げでは、2基取り付けられていた固体燃料ロケットブースター(SRB)の片方でノズルが脱落する異常が発生しました。打ち上げから2週間近く、異常の原因について調査が進められていることを海外メディアのSpaceNewsが報じています。
VulcanロケットとはULAが開発した新型のVulcanロケットは、1段目にBlue Origin(ブルー・オリジン)が開発した「BE-4」エンジンを2基、2段目「Centaur(セントール)」に1960年代から改良を重ねつつ使用されている「RL-10」エンジンを2基搭載しており、ペイロード(搭載物)に応じて1段目の側面にNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)のSRB「GEM 63XL」が2基~6基取り付けられます。
Vulcan初号機は2024年1月8日に打ち上げられ、アメリカの民間企業Astrobotic(アストロボティック)の月着陸船「Peregrine(ペレグリン)」を月へ向かう軌道へ投入することなどに成功しました。
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2024年10月4日に打ち上げが実施されたのはVulcan 2号機による「Certification-2(Cert-2)」と呼ばれるミッションで、ペイロードの質量を模したダミーが搭載されていました。
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ULAが行ったライブ配信の映像では、2基取り付けられていたもののうち画面手前側のSRB付近から発射38秒後頃に何かが飛び散るような様子が確認できます。その後も左右のSRBの燃焼ガスの広がり方が異なっていたり、1段目エンジンの燃焼終了が予定よりも遅れたりするなど、何らかの事象が発生した様子が伺えました。
【▲ 「Vulcan」ロケット2号機の打ち上げライブ配信のアーカイブ(発射30秒前から)】
(Credit: United Launch Alliance)
打ち上げ後、ULAはVulcan 2号機の打ち上げについて成功したと発表。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)社長兼CEOも、SRBの1つで異常が認められたものの、軌道投入の精度が高かったことに言及していました。
SpaceNewsによると、イタリアのミラノで2024年10月14日~18日の日程で開催された国際宇宙会議(IAC)で講演したBruno氏は、ノズルの脱落がSRBそのものやVulcanの機体全体を危険にさらすことはなかったと言及。ノズルの脱落による影響はSRBのトータルインパルスの2%未満に留まり、期待通りの推力が得られなかっただけであることや、エンジニアがデータを分析している段階ではあるものの、これまでで最も正確な軌道投入だったことなどを述べたと伝えられています。
一方で、Bruno氏はSRBのノズルが脱落した原因は調査中であることにも触れています。ULAが運用していた「Atlas(アトラス)V」ロケットでSRBとして使用された「GEM 63」の35回の噴射や、より大型になったGEM 63XLのこれまでの噴射では同様の事象は起きていないといいます。ノズルはボルトで取り付けられているため、今後のVulcan打ち上げ用に保管されている35基のGEM 63XLについては容易に交換できるだろうとBruno氏は述べています。
なお、ULAによると、Cert-2はVulcanがアメリカ宇宙軍の認証を受ける上で必要となる2回のテスト飛行のうち2回目でした。SpaceNewsは、ULAが2024年内に宇宙軍の最初の2回の打ち上げを行えるように間に合わせたいと考えていたVulcanの認証について、Cert-2で起きたSRBの異常がどのように影響するのかは不確かだと伝えています。
Source
SpaceNews - Vulcan SRB anomaly still under investigation ULA - United Launch Alliance Successfully Launches Second Vulcan Certification Flight ULA - Vulcan文・編集/sorae編集部
#ULA #バルカン #ヴァルカン
Last Updated on 2024/10/16