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JAXAが低軌道測位衛星システムの実現可能性調査でアークエッジ・スペースを選定

sorae.jp 2024年10月18日 17時5分

株式会社アークエッジ・スペースは2024年10月17日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する「低軌道測位衛星システム(LEO PNT)に関するFeasibility Study(その1)」の事業者として選定されたことを、イタリアのミラノで開催された国際宇宙会議(IAC)で発表しました。

アークエッジ・スペースは今後、実証ミッションの概念設計や測位信号の信号形式および使用する周波数帯の評価といったLEO PNTのフィージビリティスタディ(実現可能性調査)を、2024年10月から2025年3月までの事業期間中に実施することになります。

低軌道測位衛星システム(LEO PNT)とは

LEO PNTとは、高度2000km以下の低軌道(LEO)に配備した測位衛星を利用する測位システムのことです。アメリカのGPSに代表される従来の全球衛星測位システム(GNSS)では測位衛星を高度2万km前後の中軌道(MEO)に配備していますが、LEO PNTではより低い高度に測位衛星が配備されるという特徴があります。

測位システムを利用して位置情報を取得するには、4機以上の測位衛星から送信された電波を受信して、受信するまでに要した時間(電波伝播時間)をもとに各衛星までの距離を割り出す必要があります。中軌道に衛星を配備する従来のGNSSでは地上で受信する信号の強度が弱く、自然現象による障害に加えて、妨害や欺瞞(ジャミング、スプーフィング)といった人為的な干渉の影響を受けやすいという脆弱性を抱えていました。

アークエッジ・スペースによると、より地表に近い低軌道に測位衛星を配備するLEO PNTでは信号が減衰しにくく、干渉にも強いというメリットがあります。また、地上の受信機からは衛星がより速く動いているように見えるため測位情報の収束時間が短く、高精度の測位が可能になるといい、自動運転などへの活用が期待されているということです。

関連画像 【▲ 全球衛星測位システム(GNSS)と低軌道測位衛星(LEO PNT)で軌道に配備される測位衛星の高度の違い(Credit: アークエッジ・スペース)】

関連記事:アメリカ宇宙軍が提唱する測位システム「AltPNT」はGPSの代わりとなりうるのか?(2024年8月4日)

 

Source

アークエッジ・スペース - アークエッジ・スペース、 JAXAの低軌道測位衛星システム(LEO PNT)に関するフィージビリティスタディに選定 ~次世代の衛星測位システムの構築に係る検討を開始~ SpaceNews - ArkEdge Space wins JAXA position, navigation and timing contract

文・編集/sorae編集部

#JAXA #アークエッジ・スペース #低軌道測位衛星システム

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