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あけおめ!? 2024年11月12日から火星の新しい1年が始まる

sorae.jp 2024年11月12日 21時0分

あけましておめでとうございます! といっても、地球の話ではありません。火星です。欧州宇宙機関(ESA)は2024年11月12日付で、火星の新たな1年が始まったことを紹介しています。

【▲ 欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「Mars Express(マーズ・エクスプレス)」で取得したデータをもとに作成された火星の画像(Credit: ESA/DLR/FU Berlin/G. Michael)】 火星の新たな1年が始まる!

火星は多くの研究者によって長年積極的な観測・研究が行われていて、1956年の大規模な砂嵐が観測された年を火星の「1年」とする慣習があります。新たに始まるのは「38年」で、ESAによれば新年を迎える瞬間は日本時間2024年11月12日18時32分です。これは火星の北半球が春分(南半球が秋分)を迎える瞬間でもあります。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)で撮影された砂嵐に覆われていない火星(左、2001年6月)と、大規模な砂嵐に覆われた火星(右、2001年9月)の比較画像(Credit: NASA, James Bell (Cornell Univ.), Michael Wolff (Space Science Inst.), and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】

地球よりも太陽から遠いところを公転する火星の1年は、地球の1年の2倍近い687日。もしも自分の年齢を火星での年齢に換算したければ、1.88で割れば良いそうです。ちなみに筆者は20代前半になります。

また、火星の1太陽日(約24時間39分)は「ソル(Sol)」と呼ばれています。地球の1日よりも少しだけ長いので、火星の1年をソルで表せば668ソルです。

【▲ 惑星科学者James O'Donoghue氏が作成した太陽系8惑星の自転比較動画】
(Credit: Images: NASA; Animation: James O'Donoghue)

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前述の通り、火星の1年は北半球の春分から始まります。火星は自転軸が公転軌道に対して約25度傾いているので季節変化がありますが、火星の公転軌道は地球のそれよりも楕円形をしている(離心率が大きい)ので、各季節の長さは均等ではありません。

北半球の場合、太陽から最も遠ざかる頃(遠日点)は夏で、太陽に最も近づく頃(近日点)は冬。南半球はその逆になります。遠日点の頃は季節が長くて太陽光は弱まり、近日点の頃は季節が短くて太陽光は強まるので、長くて寒い冬と短くて暑い夏を繰り返す南半球に対し、北半球の気候は比較的“温暖”です。

【▲ アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」のカメラ「Mastcam-Z」で撮影されたジェゼロ・クレーターのパノラマ(色は強調されている)。クレーター西縁を登る途中の2024年9月27日に撮影された44枚の画像をつなぎ合わせたもの(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU/MSSS)】 【▲ 2024年7月に公開されたアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Perseverance(パーシビアランス)」のセルフィー。ロボットアームのカメラで撮影した62枚の画像を使って作成されている(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

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もしも住むなら“温暖”な北半球が良さそうですが、平均気温マイナス55℃の火星は地球の感覚ではとても暮らしていけません。ESAによると、夏の正午には気温が0℃に達することもありますが、夜の気温はマイナス60℃。冬の夜はさらに低いマイナス110℃まで下がります。

そもそも火星の大気は気圧が地球の約0.6%しかありませんし、主成分は二酸化炭素なので呼吸できません。人間は火星では与圧された宇宙服や居住棟がなければ生存することもできないのです。

【▲ 2015年4月にアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」が撮影したゲール・クレーターの夕暮れ(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS/Texas A&M Univ.)】 新年を迎えた火星を観察してみよう!

2024年11月の火星は真夜中頃に東の空で見ることができます。国立天文台(NAOJ)によると、この時期の火星は0.1等~マイナス0.5等と明るくなっていきますし、11月20日の夜遅くから翌21日にかけては月が接近するので、見つけやすいでしょう。

真夜中なので時間的に難しい場合もあると思いますが、もしもお天気が良かったら、新たな1年が始まった火星の赤い輝きを観察してみませんか?

【▲ 日本時間2024年11月20日23時頃の東京における東の空で、月と火星が接近する様子を示した図(Credit: 国立天文台)】

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火星に人類が降り立つ日も遠くはないかも?

前述の通り火星は人間が生きていくには厳しい世界ですが、人類がその足跡を刻む日はそう遠くない将来にやってくるかもしれません。

アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは「人類を多惑星種にする」という目標を掲げていて、同社は再使用可能な大型宇宙船「Starship(スターシップ)」の開発を進めています。

Musk氏は2024年9月の時点で火星への無人飛行を2年後(2026年)に、有人飛行を4年後(2028年)にも行いたいと述べていますから、あとほんの数年で史上初の有人火星飛行が実現する可能性もゼロではないのです。

【▲ 2024年10月に実施された第5回飛行試験で上昇するSpaceXの新型ロケット「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】

そんなStarshipの第6回飛行試験が早ければ日本時間2024年11月19日朝に行われる予定です。人類の歴史を大きく変えることになるかもしれないStarshipの開発状況にも注目です!

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・スペースX、新型ロケット「スターシップ」第6回飛行試験を11月19日以降に実施へ(2024年11月8日)

 

Source

ESA - Happy New Year on Mars The Planetary Society - Mars' Calendar NAOJ - 真夜中の月と火星の接近(2024年11月)

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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