テラスペース株式会社は2024年11月12日、スペースワン株式会社の「カイロス(KAIROS)」ロケット2号機で自社の人工衛星「TATARA-1」が打ち上げられる予定であると発表しました。
超小型衛星の軌道投入サービス実証実験などを予定TATARA-1は50kg級の超小型衛星(マイクロサット)で、軌道投入後に「人工衛星軌道投入サービス」と「ホステッドペイロードサービス」の実証実験が行われる予定です。テラスペースは2つのサービスを毎年1回以上の頻度で提供する計画を進めていると述べています。
テラスペースによると、人工衛星軌道投入サービスは衛星に搭載して打ち上げられた別の超小型衛星を分離して軌道に投入するサービスです。同社は「ロケットからの放出だけでは賄いきれなかった多様な投入軌道ニーズに対応する」としています。TATARA-1にはCubeSat規格の超小型衛星を搭載・放出できるポッド(外観図によれば6Uサイズ×1、3Uサイズ×2の合計3機分)が搭載されており、軌道上で動作実証が行われます。
また、ホステッドペイロードサービスは顧客の部品・材料・機器等を衛星に搭載し、軌道上実証や運用を行うサービスです。テラスペースは「宇宙用部品等の軌道上実証や運用のニーズは宇宙ビジネスの広がりとともに拡大の一途を辿っており、今後も増加することが予測されます」としています。TATARA-1には京都の醍醐寺塔頭菩提寺の依頼による宇宙寺院「劫蘊寺(ごううんじ)」をはじめ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小型リフレクター「Mt.FUJI」などが搭載されます。
宇宙寺院劫蘊寺については2021年2月にテラスペースと醍醐寺が打ち上げに向けた業務技術提携を発表していました。当時の発表では専用の超小型衛星(6Uサイズ)の内部に本尊の大日如来像や曼荼羅を搭載するとされていましたが、今回のTATARA-1ではホステッドペイロードのひとつとして搭載される模様です。
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・2023年に「宇宙寺院」建立へ、醍醐寺とテラスペースが提携を発表(2021年2月3日)
Mt.FUJIはレーザー光を利用して地上から衛星までの距離を測定する衛星レーザー測距に用いられる装置で、2024年2月に「H3」ロケット試験機2号機で打ち上げられたキヤノン電子の小型光学衛星「CE-SAT-IE」にも搭載されており、2024年8月に軌道上性能実証実験に成功したことがJAXAから発表されています。
今回の発表にあわせて公開されたTATARA-1の外観図では、劫蘊寺とMt.FUJI以外のホステッドペイロードや、明記されてはいませんが劫蘊寺を撮影するためのカメラと思われるモジュールが確認できます。なお、TATARA-1は同社の以前のプレスリリースでは6Uサイズの超小型衛星とされていましたが、今回発表されたものはより大型の衛星となっています。
カイロスについてカイロスはスペースワンが開発した全長約18m・3段式の固体燃料ロケットで、ペイロードの軌道投入制度を高めるための液体推進系キックステージを備えています。同社は契約から打ち上げまでの「世界最短」と打ち上げ頻度の「世界最高頻度」を目指すとしています。
カイロス初号機は内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」を搭載して2024年3月13日に打ち上げられましたが、発射約5秒後にロケットの自律飛行安全システムによる飛行中断措置が自律的に行われて射場直上で爆発し、衛星の軌道投入は達成されませんでした。スペースワンによると、飛行中断に至った原因は推進薬の燃焼速度を予測するプロセスに問題があったためで、プロセスの改善などの対策が講じられました。
テラスペースのTATARA-1をはじめ合計5機の超小型衛星を搭載するカイロス2号機は、日本時間2024年12月14日(土)の11時0分~11時20分頃の時間帯に和歌山県のスペースポート紀伊から打ち上げられる予定です。予備期間は2024年12月15日~2024年12月27日とされています。
スペースワン、「カイロス」2号機の打ち上げで国内外の複数顧客と契約締結 打ち上げ予定は12月(2024年11月13日)
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テラスペース - カイロスロケットによる50キロ超小型衛星「TATARA-1」打上げと軌道上サービス実証試験を実施(PR TIMES) 宇宙寺院 劫蘊寺 JAXA - 衛星レーザ測距(SLR)用小型リフレクター(Mt.FUJI)の軌道上性能実証実験結果文・編集/sorae編集部
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最終更新日:2024/11/14