こちらはアメリカ・アラバマ州のアメリカ航空宇宙局(NASA)マーシャル宇宙飛行センターで撮影されたテストの様子。アメリカの民間企業Sierra Space(シエラ・スペース)が開発を進めている宇宙ステーション用モジュール「LIFE(Large Integrated Flexible Environment)」の実物大テストユニットがストレステストで破裂した瞬間を捉えています。
LIFEは膨張式の構造を採用したモジュールで、標準的なロケットのフェアリングに搭載できるコンパクトなサイズで打ち上げられた後、宇宙空間で膨張させることで内部空間を利用できるようになります。Sierra Spaceの2024年1月22日付プレスリリースによると、このストレステストでは破裂前にNASAの推奨レベル(※)を27%上回る77psiに到達したということです。
※…最大動作圧力15.2psiに安全係数4を掛けた60.8psi。
膨張式モジュールの前例として、国際宇宙ステーション(ISS)に結合されているBigelow Aerospace(ビゲロー・エアロスペース)の「BEAM(Bigelow Expandable Activity Module)」モジュールが挙げられます。BEAMの容積は約16立方mですが、Sierra Spaceによれば冒頭とその次の画像に写っているLIFEモジュール実物大テストユニットの容積は300立方m。これは国際宇宙ステーション(ISS)の内部容積(約900立方m)の3分の1に相当します。
LIFEモジュールは複数のバリエーションが用意される計画で、たとえば直径5mのフェアリングに収まる「LIFE 500」(膨張後の容積500立方m)は3つあればISS以上の容積を確保可能。直径7mのフェアリングに収まる「LIFE 1400」(膨張後の容積1400立方m)なら、たった1つでISSの容積を上回ります。
Sierra SpaceはBlue Origin(ブルー・オリジン)が開発を主導する商業宇宙ステーション「Orbital Reef(オービタル・リーフ)」にLIFEモジュールを提供する予定です。また、小型バージョンとして開発された「LIFE 10」(膨張後の容積10.6立方m)は月面インフラ開発に適用可能とされており、ストレステストではテストユニットが255psiまで耐えたことが発表されています。
Sierra Spaceといえば地上と宇宙ステーションを結ぶ宇宙往還機「Dream Chaser(ドリームチェイサー)」の開発が大詰めを迎えていますが、今後はDream Chaserの目的地である宇宙ステーションや、月面向けの膨張式モジュールを提供する企業としても活躍していくことになるかもしれません。冒頭の画像はNASAの商業パートナーの地球低軌道プロジェクトにおける最近の取り組みの一例として、NASAが2024年11月25日付で紹介しています。
Source
NASA - NASA's Commercial Partners Make Progress on Low Earth Orbit Projects Sierra Space - LIFE | Inflatable Space Station Sierra Space - Sierra Space Advances its Revolutionary Commercial Space Station Technology Sierra Space - Sierra Space's Commercial Space Station Technology Nears Certification文・編集/sorae編集部
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