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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“オリオン大星雲”の原始星とジェット

sorae.jp 2025年1月13日 21時1分

こちらの画像、右上に写っているのは「オリオン座」の方向約1300光年先の原始星「HOPS 150」です。原始星は形成されて間もない星のことで、中心部で水素の核融合反応がまだ始まっておらず、自身の重力で収縮したり周囲の物質が降り積もったりする時に放出されたエネルギーで輝くとされています。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が撮影した原始星「HOPS 150」(右上)と、視野外の原始星「HOPS 153」から放出されたジェット(左)(Credit: ESA/Hubble & NASA, T. Megeath)】 オリオン大星雲で誕生した原始星の産声

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータを使って作成されました。

欧州宇宙機関(ESA)によると、HOPS 150はそれぞれが塵(ダスト)の円盤に囲まれた2つの若い星からなる連星です。画像のHOPS 150の位置を見ると白っぽい明るい領域を縦に横切る暗い帯のようなものが見えていますが、これは幅2000天文単位(※)以上にわたって広がるガスと塵の雲によって生じた影。HOPS 150は成熟した星へと成長する途中の段階にあり、周囲からガスや塵が降り注いでいるとみられています。

※…1天文単位(au)=約1億5000万km、太陽から地球までの平均距離に由来。

また、画像の左側にはピンク色と水色をした星雲のようなものが写っていますが、これはここには写っていない別の原始星「HOPS 153」(画像右側の視野外)が放出したジェットです。

HOPS 150とHOPS 153はどちらも星形成領域として知られる「オリオン大星雲(M42)」で誕生しました。こうした若い星はガスと塵でできた低温の分子雲の奥深くに隠されていて、ハッブル宇宙望遠鏡でも直接観測することはできないものの、原始星から放出された“産声”のようなジェットが周囲のガスや塵に衝突する際に放出された光をこのように捉えることができるということです。

成長しつつある原始星のダイナミックな活動を捉えた冒頭の画像は、“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”としてESAから2025年1月13日付で公開されています。

110億年以上前の銀河の輝き ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“うみへび座”のアインシュタインリング(2025年1月8日)

 

Source

ESA/Hubble - Jetting into space

文・編集/sorae編集部

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