こちらは欧州宇宙機関(ESA)の無人月着陸機「Argonaut(アルゴノート)」の想像図です。ESAとヨーロッパの民間企業Thales Alenia Space(タレス・アレニア・スペース)は2025年1月30日付で、Argonautの機体本体と言える「Lunar Descent Element(LDE)」の設計・建造・納入に関する契約が締結されたことを発表しました。
Argonautは月への多目的アクセスを念頭にESAが開発を進めている月着陸機です。目的の1つは有人月面活動を行う宇宙飛行士のために食料・水・空気・機器などを運ぶことですが、探査車(ローバー)、技術実証用の機器類、月の資源を活用する生産設備、望遠鏡、発電施設といった様々なペイロードを月面に運ぶことを想定。それぞれ約14日間ずつ続き、温度の変化も激しい月の昼夜を、最長5年間にわたって耐え抜けるとされています。
4本の着陸脚を備えた直径4.5mのLDE上部には、最大1.5トンのペイロードを搭載可能(ペイロード搭載用のプラットフォームであるCargo Platform Element: CPEの重量を含む)。着陸精度は100m以内とされており、ESAは2030年代からの運用開始を目指しています。打ち上げにはヨーロッパの「Ariane 6(アリアン6)」ロケットが使用されます。
ちなみにESAによると、名称のArgonautはギリシア神話に登場する巨船「アルゴー船」の乗組員たちを指す言葉にちなんでいて、Argonautによるミッションの名称には乗組員の名前が付けられます。最初のミッションは2031年に予定されているので、順調に進めばあと6年でArgonautは初飛行を迎えます。
Argonautの開発ではアメリカが主導する有人月探査計画「Artemis(アルテミス)」も念頭に置かれているということなので、将来はArgonautで月面に運ばれた物資を日本人宇宙飛行士が受け取る場面を見ることができるかもしれません!
Source
ESA - Argonaut: a first European lunar lander Thales Alenia Space - Thales Alenia Space signs contract with ESA to develop the Argonaut Lunar Lander for cargo delivery文/ソラノサキ 編集/sorae編集部